第10話アガサドールの王、エスカフ

「で、だから何が言いたいのさ?」乱歩はエドワードクリーンを襲いそうなぐらいの声だった。

「いいから、とりあえず電話で話してもたぶんわかんないと思う。だからとりあえずこれから私はマイトクラスの国に行くつもりなんだわ」

「えっ!?そんなことエド君できるの?だってアガサドールの人たちがそんなの許してくれるの?」

「たぶんな。マスクに仕事のために調査に行くと言ったら行かせてもらえるだろう。問題はその前に私はマイトクラスの前にシンソウによろうと思ってね」


「シンソウになんで?」

「久しぶりにロイドと会おうと思って」

「ロイド君か、懐かしいね。彼は今カウンセラーの仕事についているんだっけ?」

「たぶん、そんなことを噂で聞いたけどほんとのところどうなのかはわからない」

「で、なんでロイドに会いに行こうと思っているの?」

「まあ、ちょっとな」

「そっか、それならいっそのことaやb、スミス兄弟にもあってきたらどうかな?ついでにピーターも」

「まあ、そうしたいところだが・・・・・」今回の事件のすべてを知ったら乱歩はきっと正気を保てないだろう。


今回の事件はすべてエドワードクリーンと乱歩の知り合いが事件に関与しているのだから。


エドワードクリーンはマスクに会う前にまずはアガサドールの王宮に行くことにした。アガサドールの王宮はこの国、ヘブンドールの中でもひときわ目立っていた。それもそのはずである。城すべてが金でできているだから。そして場所はヘブンキングダムの真ん中にちょうど位置していた。この国ヘブンキングダムはいたるところに貴族がいるのでお城の国ともいわれているほど城が多いが、やはりアガサドールの城はすごすぎる。


エドワードクリーンはアガサドールの城の門のところにきた。10メートルは超えるほどの大きな大きな門であった。門番が出てきてエドワードクリーンに話をしてきた。


「用件は?」

「エスカフ様に」そう言った途端に門番は私の胸倉をつかんできた。

「お前、わかってるのか?エスカフ様はこの国の最高権力者だぞ。その王の中の王が会える人間なんて限られているのはわかっているだろうが。私はその会える人間の顔は覚えている。そしてお前は明らかにエスカフ様に会える人間ではない。帰れ!」そう言って門番は私を追い返そうとした。だがもう一人の門番がやってきて

「まあまて、お前はもしかしてあれか。あの有名なあのキャラクターを作ったエドワードクリーンなのではないのか?」もう一人の門番はエドワードクリーンのことを知っているのか妙に親しげに対応してくれた。


「ええ、まあ、そうです」

「そうかそうか、おい少しここで彼をまたしておいてくれないか?」

「ですが」最初の門番はそう言ったが、どうやら後から来た門番のほうが階級が上のほうなのか渋々従った。


アガサドールの城の中は外観が金色とは打って変わって中は一面がガラスだらけだった。そのためにエドワードクリーンも門番たちの姿もどこからでも見えた。何か不思議な世界に入ったみたいな感じである。エドワードクリーンはこの場所に一度だけ来たことだがあるがその時の気持ち悪さはいまだに忘れられない。


エドたちはガラス張りのパラス(居館)を抜けたら今度は礼拝堂に案内された。礼拝堂の奥には大きなオルガンが置かれており、そこに王とその娘がいた。

「エスカフ様、ミラン様」門番が言うとエスカフとミランはエドワードクリーンと門番を見た。

「これはこれはエドワードクリーン。久しぶりだな」エスカフはエドワードのほうにきて手を握ってきた。

「・・・・・・・お久しぶりですエスカフ様」エドワードクリーンはひざまずいて手を当てた。

「ミラン、お前もこっちにこい。こいつがあのミミーを作った人間だぞ」とエスカフは娘のミランをエドワードクリーンのほうに向かわせた。

「・・・・・・・・・・・初めまして」ミランはまだ10歳になるだろうかというほどの子供だった。だが、その瞳は大人びていて、どこか冷めていた。金髪で長髪、そして長身のためかよけいに大人びていた。


対してエスカフのほうはがりがりの人間だった。長身で顔はこけていて、目にはクマがいつもできていた。そして口にはなぜか男性なのに口紅を塗っており、髪の毛はなかった。はたから見たら化け物と思えるほどの怖さだ。これがほんとにこの国、いや世界の王なのかと思うほどである。


欲望の国、貴族の国の王の中の王が一番不幸せに思えるのはエドワードだけなのだろうか?と思っていた。

「で、もう行っていいぞ大臣」そう言って門番だと思っていた人間は大臣だったのである。

「やっぱり違いましたか」

「わかったか?」

「それは、やはりただの門番が私なんかの市民がエスカフ様に簡単に会えるとは思ってもいなかったので」

「そうだろうそうだろう。あいつはな、たまにああやってこのヘブンキングダムから私の城に来る人間を観察しているのだよ」

「そうですか。なかなかいい趣味ですね」

「大臣も面白いやつだからな。私はあいつが大好きだよ。で、エドワードクリーン、私の性格は知っているかね?私はそんなに時間をかけたくないのだよ。特に娘との時間を取られるのは非常に腹ただしくてね」その瞳には殺気があった。



・・・・・・・・・・この返答をまちがえたら私は殺されるのかもしれない。いや殺される。エスカフはそのような人間だ。そう思ったエドワードクリーンは5分、いや3分だろうか?時間が止まったかのような錯覚に陥った。そして、彼の体から汗が一粒額から地面に流れたとき


「調査をしに行きたいのです」


「調査?なんのだ?」

「エスカフ様は知っているのかもしれませんが、今現在4つの大陸で殺人事件が連続して起きております。私は監査役としてその調査をしたいのですが」



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