星霜の彼方へ~改稿版~

新藤康誠

プロローグ

「雨が止みましたね」と微笑む君、差し伸べられた美しい手を取り、僕はゆっくりと立ち上がる──


「間もなく、戦闘宙域に突入します」乾いた戦闘支援AIの声に目を開けると、そこは見慣れた藤棚の下ではなく、血と硝煙の霞む戦場の真っ只中であった。自らの周囲を行きかう光条と、そこかしこで起こる爆発、それを目にしてもなお寝ぼけ眼の青年は、漆黒の蒼穹の中、一つ、大切なことを思い出した。


嗚呼、俺は戦場にいたんだ──





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