第25話
「これは天の香具山の鹿の肩甲骨を焼いたものです。ここにいくつかの筋や穴があいているでしょう。太占といって、一種の占いです。しかし我々にとっては重要な道しるべとなるものなのです。これによると『文月の十日、葦原の中つ国新宿花園神社にて札を購ひしもの高天の原に呼び、楽を奏せしめ戦はば必ず勝利あり』ということなのです。そこで我々は葦原の中つ国に降り、その日を待ちました。そして札を購入したあなたたちを見つけたのです」
「・・・ということは、おれ達はスカウトされたわけじゃなくって・・・オトタチは最初からここにおれ達を連れてくるつもりで・・・」
そう言いながらおれはオトタチを見た。
オトタチは申し訳なさそうに言った。
「そうなの。ごめんね。でも、タケオ君たちのバンドが選ばれたのには必ず意味があるのよ。実際、初めてギルモアヘッドを見たときに感じた衝撃は本物だった。神に響く演奏。ああ、この人たちならきっと私たちを助けてくれる、って確信したの」
「そ、そんなこと言われたって・・・」
唇を震わせて、おれはやっとその一言を言った。おれはいい気になっていた自分を恥じた。オトタチと一緒に全国を周れる、とひそかに浮かれて妹や善太を巻き込んでしまった。おればかじゃね?ばかじゃね?ばかじゃね?
茫然自失に近い状態のおれに再びタケミカヅチは語り始めた。
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