第23話

 「・・・あれはタカミムスヒノカミのこ、オモヒノカネノカミなり・・・なれどもこそギルモアヘドにあれ!・・・あれらはいましたちをここにかむつどひてひさしくまちき・・・かれ、いまたかまのはらはいたくさやぎて、あらぶるかみ、わざわひ、やをよろずのかみをおそひき・・・かれ、よくなれどもきんをとどろこさばかならずあれらやをよろずのかみどもさばえなすわざわひをちょうぜしめむとふとまににてのらししく・・・」

 いい声なのだが何を言っているのかさっぱりわからないので俺は横目でオトタチの方を見た。オトタチはそれを察して、同じようによくわからない言葉で老人に話しかけた。

 「かけまくもかしこきオモヒノカネノミコト、かれらうつしきあおひとくさなれば、ふるきことのはのゆえをはかりかねつ。かれ、あれタケミカヅチノミコトとともにオモヒノカネノミコトにかはりたてまつりてかれらにまおさんとせむ」

 オモヒノカネと呼ばれた老人はそれを聞いてちょっと思案した様子だったが、おれ達をじいーと見つめてから傍らの竹見専務に向って言った。

 「しからばタケミカヅチノヲノカミ、オトタチとともにことのかたりごとまおせ」

 タケミカヅチと呼ばれた竹見専務は頷いておれ達に顔を向けた。

 「みなさん、さぞ驚いたことでしょう。タケオ君とは私は竹見という名で一度お会いしましたが、本当の名はタケミカヅチと申します」

「タケミカヅチって、あの国譲りで出てきた神様だ!」

 理子が驚いたように言った。

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