第41話 戦隊ヒーローだって修行くらいする4
「一ヶ月間SM嬢にぶたれ続けて強くなるヒーローなんて存在して言いわけないでしょ!?」
組織アクギャーク幹部の1人、レディ・ダークは自分の思いの丈を打ち明けた。
というか、自分のライバルとも言える存在がそんな方法で強くなって欲しくなかった。
「一ヶ月前まではお前のムチ攻撃一発でイッちまったが、今の俺を同じと考えないほうがいいなぜなら・・・
新たな必殺技『おあずけ』を覚えたからな!」
「ただプレイの幅が広がってるだけじゃないのそれ!?」
「新たな世界への渇望・・・それが俺をこの境地へと導いたんだ・・・」
「何かっこよく言ってんの!?」
自分の性癖すらも自らの武器にしてしまう、それがジャスティスファイブなのかもしれない。
だが、こんなふざけた理由でも自らの最強の一撃を防がれたのは事実なのだ。
(くっ・・・どうするここは一旦退却して体制を立て直)
ダークがこれからどうするか思案するため、ジャスティスファイブから目を離したその瞬間だった。
「オイオイ、一体何処を見てるんだ?」
「!?」
突然背後からジャスティスブルーの声が聞こえる。
ダークは振り向き様に手のムチを振るった。
ブオン!
空気を裂く轟音が響き渡る。
それはつまり何にも当たらなかったということなのだ。
「なっ!?一体どこに!?」
「ここだよ・・・」
「クッ!?」
再び後ろから同じ声がした。
間違いない、ブルーはダークが感知できないほどのスピードで背後を取り、音速をも超えるムチを回避したのだ。
さらにダークにとっては屈辱的ではあるが今まさに再び背後をとっている。
(この私が反応できない速さだと!?なら・・・これならどうだ!)
「はああああああああああああああああああああああ!!」
ダークは叫びながら手に持ったムチを辺り構わず振り回した。
ゴオオン!ドオオオン!
そのムチは地面に当たるたびに破壊音を打ち鳴らし、周囲の全てを破壊し尽くす。
この嵐とも呼べる激しい攻撃に巻き込まれてしまえばひとたまりも無い。
人の形を保つのでさえ難しいだろう。
この全方位攻撃によって声の主は粉微塵になる
「こんなもん振り回しちゃ危ねぇだろ・・・」
はずだった。
ブルーはなんとこの攻撃の嵐の中、ダークの腕を掴みムチの動きを止めたのだ。
「な・・・なんだと・・・?」
想像を超えるブルーのスピードに驚きを隠せない、だが驚くべきはそこだけではなかった。
「ん・・・えっ・・・?」
手を掴んだブルーを視認するため背後に目やるとそこには・・・
フルチンの青いマスクをかぶった変態(ヒーロー)がそこにいた。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
甲高い乙女の悲鳴が響く。
それはとても悪の組織の幹部とは思えない可愛らしく必死な声だった。
「な、ななななっ、なんて格好してんの!?」
ダークは真っ赤になりつつつかまれていない方の片手で顔を必死に覆い隠している・・・のだが指の隙間からチラチラ見ている。
「フン・・・見て分からんか・・・フルチンだ!」
「そそそ、そんなの分かってるわ!な、なんで裸なのか聞いてるのよ!」
「オレのスピードをフルに活かすにはスーツは邪魔だったからな・・・あとは・・・趣味だ!」
「絶対後半の理由がメインでしょ!ていうか前の戦いで一瞬裸に見えたの、アタシの気のせいじゃなかったのね!」
「ああ・・・あの時は情けない体を見られて恥ずかしかったのもあってイッてしまったが、修行によって完璧な体になったオレは全てをさらけ出せるようになったのだ!」
「完璧になったからってさらけ出さないで!」
必死に見ないようにそっぽを向こうとするダークに対して、ブルーは全く恥じることなく体を見せびらかしている。
「フン・・・この体を誰かに見せびらかしたくてな・・・さて・・・この一ヶ月でどこが変わったかお前にわかるかな?」
「は、ハァ!?前の体だってそんな見てなかったのに分かるわけないでしょ!」
「ハッ・・・仕方ない・・・教えてやろう・・・ほらよく見ろ
包茎手術によって皮かぶってないだろう?」
「一ヶ月前に包茎手術しただけじゃねぇかアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
正義のヒーローでもやっぱり皮かぶってると恥ずかしいようだ。
「あんた修行ってただ単に包茎手術しただけじゃないの!」
「ああ・・・手術後は麻酔が切れてな・・・辛い修行だった」
「何辛い修行を切り抜けてきたみたいなカンジで言ってんの!?」
「だが修行の甲斐あってオレのスピードは上がった」
「そんなので変わるわけ無いでしょ!?」
「いや俺はこの皮のかぶった粗チンを見せることを心のどこかで恐れ、チ○チンを見せないようにカバーするため全力を出せずにいた。だが手術によって皮と言う名の鎧を捨て去り、チンチ○を見せることに躊躇いがなくなることで真の速さを出すことができるようになったのさ」
「強くなった理由しょうもな!」
人というのは実は簡単なことで強くなれるのかもしれない。
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