第8話東北さんです

今日の一品:キンキの煮付け


キンキは新鮮なものを選ぶ。エラワタ処理をして、肝は残す。面倒だったら鱗と鰓だけをはずせばよい。(新鮮なものに限る。)

一度塩をして水を浮かせて、浮いた水は酒を含ませた布巾などでふき取る。


この一手間が魚の臭みを落とし身を締めるコツとなる。


煮汁は市販の汁でもよいが、あえて水と酒と塩・・・・・・・後好みで葱か生姜でも加えて煮ると良い。割合は適当で。

適当に煮付けてもご飯の友としてよい。後の出汁も美味。


酒で選ぶならば甘めの酒を熱燗で・・・・・・・




本文


 キンキ・・・・・・・・・・・子供はジャ○ーズではありません。


 東北で取れる魚である。高級魚として一尾1000円を越える事が多々あるし、お客からも

 「美味しいけど、高いのよねぇ・・・・・」

 という声がちらほら。だって浜値(港での価格)が普通に高いから・・・・・・・


 「昔は安かったのよねぇ・・・・」

 という声を聞くが私は知らない。昭和時代の爺婆しか知らない歴史なんて・・・・・・・・・・

 親指大の小キンキならば安く手に入るのだが、これを調理してくれといわれても私は断る!断ると不機嫌になって品物を投げる客もいるのだが大抵はいい年をしたババアである。若者の躾けがと言われるが年寄り連中のほうが人品に欠けているのは良く目に付く。ここで話すことではないのだから元に戻すが、キンキは高級魚である。安いのが欲しければアメリカ産のキンキの開きとか小キンキを選ぶと良い。アメリカ産のほうは兎も角小キンキは脂分は足りないがそれなりに味もするので悪くない選択であろう。


 そしてキンキは下処理するときに泣く魚の一つでもある。背びれには痛いとげを持っているしこれが刺さると腫れる。どれだけ腫れるかと言えばハレルヤ!なんて冗談が飛び出すくらいに・・・・・・・

 刺さったときはとげを抜いて素直に病院に・・・・・・・・・・いけ!と、若いのがやってしまったときなんかは命令するのである。そうすると魚の事情を知らない店長あたりが何を労災とか愚痴愚痴言うのだが、そこはとげに毒があるのでと言うと・・・・・・・・・・そんな魚を取るな、若し客に刺さったらどうするのだ!と逆に怒鳴られるのである。

 大きなキンキを手に入れたときは背びれをはさみで切り取ってからパック詰めする事もあるのだが、そうすると見栄えがしないと言われるし・・・・・・・・難しい所である。選択肢の難しさはカサゴやメバルなどにも共通する。私も一度鯛のとげが指に刺さったまま放置していたら半月ほど抜けず未だに指が曲がったまま伸びなくなっているのである。


 そんなキンキでも

 「キンキなのに東北産だよ」と言う売込みをすると笑って買ってくれる客が100人に一人くらいは・・・・・・・・・

 高いから売り辛い魚である。後、足が速いからさっさと売り切りたいのに理解してもらえない。前日のを店に出したくないと下げていても気を利かせたと自分は思っているパートのババアが中身を確認もしないで店に出したりするから面倒である。


 自分で食べるためならば手間惜しまないけど何で売り物にするために手間かけなくては・・・・・・・・・・


 あれ?営業さんどうしたので?

 仕事の手抜きを堂々宣言ですかって?

 いえいえ、ちゃんと手間隙かけていますよ。儲けが取れる範囲内で・・・・・・・・・


 OHANASHI?する必要ないじゃないですか・・・・・・・・・ほらっ!私何処の店に行っても引っ張りだこな職人だし・・・・・・・・・・・


 あーっ!

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