第3話いさきめぐり

今日の一品:イサキの焼き魚

 イサキ一尾を鱗エラワタを取り除き下処理をする。(この辺は販売している鮮魚売場でお願いすれば大抵やってもらえる。)そこで塩を振って焼くのだが、皮目に爪楊枝などでぷすぷすと穴を開けて塩水(大体5%くらい)に10分くらい漬け込んでから水を切って塩振りの代わりにしても良い。遠火の強火で焼き上げれば美味しい焼き魚。因みに塩水につけるのは干物を作るときの手法、そのまま一晩陰干しにしてから焼いても美味。


 これは米の飯に良く合う。一口魚を食らってから飯をかき込む、至福である。


本文

 はい、タイトルはパンツが空を飛ぶアニメとは一切関係ありません。


 イサキ・・・・・・・・・・・馴染みのある人にとっては鯛よりも美味だというのもあれば、何それ食べた事が無いという人もいるでしょう。今回はイサキについて騙る事にします。


 イサキを一匹あったらどうして食べましょうかと悩む所である。まずは刺身でという人もいるし、焼いたほうが美味という意見も理解できます。あえて、中華風に蒸してから熱した胡麻油をかけまわしてなんていうのも捨て難い。梅雨の頃が美味と言われますが、冬場の脂の乗った頃も美味しいと思いますし外れの時期が無いのではと思える魚である。客の調理依頼を聞いても塩焼きが刺身かで別れる、刺身の客にしても骨は出汁をとるからと取り分けておいてと態々注文する方もいる。イサキでとった出汁は美味しいし鯛飯ならぬイサキ飯なんていうのも悪くないし、イサキの刺身を漬にしてイサキのだし汁をかける茶漬けなんていうのも・・・・・・・・・酒の締めとしては最高でしょう。


 海沿いでなければ入荷量は多くない気もするけど入るときにはちょとしたアジ位の値段で手頃に手に入ることもありますが値段と質の読めない魚である。勿論、蓄養物とか釣り物で活き締めにしたものは値段がつりあがるのはどの魚でも一緒。これこそ海のご機嫌伺いながらと説明するしかないのである。


 さて、このイサキ・・・・・・・骨が硬いのである。骨を取り分けて食べればよいし、骨の位置はわかりやすいので抜くなり分けるなりすればよいだけなのだが、この魚の性質を知らない者がアジ位の大きさならば骨はそれほどでもないだろうと骨抜きやら血合い骨を除く切り分けもせずに刺身にすることが見られるのである。

 昔いた店で骨が除かれていないことを知らないで食べたとき、骨が刺さった痛みといったら・・・・・・・・・・思わず涙目であった。若いのにイサキの刺身を作らせたときに骨抜きをしていない身を渡したのが失敗であったのだが(職人によっては鮮度保持の為に骨抜きは刺身作る直前にしているものがいる。)確認位して欲しいものである。若いのにお前喰ってみろとその刺身を食べさせて骨抜きの重要性を教え込んだのは腹いせではなくちゃんとして実地教育である。大事なことなので繰り返すが腹いせでも虐めでもなく教育である。

 実際イサキの骨は鯛の骨と同じくらいに硬く、『鍛冶殺し』等と呼ぶ事もある。とあるスーパーで手抜きをして刺身包丁で下ろして包丁をかけてしまったなんていう笑えない話もある。私はこれを下ろすときはどんなに小さくても出刃を用いて下ろすのである。


 イサキは基本瀬付きの魚で沖合いではほとんど見かけない、どんなに小さいイサキでもそこそこの脂っ気はあるし鮮度の差を除けば外れはない。刺身をした後の骨や皮等も出汁をとったり、塩焼きにしたり皮のから揚げなども美味である。


 さて、イサキで一杯やりたくなってきた・・・・・・・・明日は手に入るかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る