第4話 熱風

扉を4回ノックする。

今にも振動で金具が外れて、大きな音をたてて倒れてしまいそうな木製の扉なので、あくまで控えめにノックをする。


「どうぞお入りください」


部屋の中から女性の声がした。

声だけでわかる。きっとバリバリに仕事ができる人だ。知性を感じさせる声に若干安堵しつつ、ドアノブに手をかける。


油がさされていないのか、鈍い感触を手のひらに受けながら、扉を開ける。


予想が外れた。

部屋の中はクーラーが効いてなかった。


扉の隙間から熱気が溢れ出る。

頭の中で映画のバックドラフトがフラッシュバックしている。



熱風のお出迎えを受け、顔が引きつる。

肺が焼き付きそうになるなか、声を絞り出す。



「失礼します!」



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