滅びの前の静けさ

静謐な空気のなかに張り詰める死の雰囲気が、逆に二人の生きざまの対比を浮かび上がらせます。
今から死ぬために、生きる行為である食事を楽しむ。
そのもの悲しさが料理のおいしそうな描写によって引き立てられ、美しい物語になっています。
スティーグがこのあとどのように王女を手にかけるのか、イルヴァはどのように最期を迎えるのか。
語られぬ物語の結末が美しく見える気がします。