墜ちた星が再び天に昇る為の約束と予定調和

紫魚

【副読本】人物紹介編

・読み飛ばして差し支えないが、誰が誰か分からなくなった時に目を通すためにご使用ください。


【魔王】(白竜のフィーザ)

 魔界の四代魔王であり、希少竜種。某国民的RPGの大ボス並みのカリスマを放つ。年齢はおおよそ千二百歳だが、竜種としては人生の(竜生の)折り返しに来たところらしい。馬鹿みたいな長寿である。長命種の御多分に漏れずリスクに対して舐めた態度をとる。その不遜さ傲慢さが側近ガゼルロッサの心を掴んで離さないのだが、本竜は別に掴む気はなかったしいつでも離れていいと思っている。魔王城での生活に困るのと、燃費の関係で普段はヒト型の姿だが、角や鱗など魔王を名乗るだけの異相ではある。本来の竜は白鱗の巨竜で、黒色の外骨格などがアクセントのチャーミングなラスボス。火炎・毒・混沌の三種のブレスを吐く。ヒト型の時には強力かつ豪快な魔法を操るが、竜の時には専ら肉弾戦。ヒト型は脆く傷つきやすいが、竜の姿でのみ止めを刺すことができると言われている。第一形態が一番強かったと言われるのは予定調和のうち。もっともガゼルロッサ曰くではヒト型の喉首だって歯が立たない(字義通り)ようだ。


【側近】(ガゼルロッサ・バーントシェンナ)

 魔王の側近、吸血鬼の青年。一応「相談役」という中身がなさそうな肩書を持っている。魔王がとても好き(性的にも)で、概ね魔王の側でわちゃわちゃしているため、並み居る側近連中を差し置き、揶揄して「側近」と呼ばれている。年齢は二百歳そこそこで、馬鹿みたいな長寿大国魔界では若造。魔王曰くではこれと言って優れた才能はないそうである。酷い言われようだが、魔族の貴種としてそこそこの戦闘能力やカリスマぶった言い回しを備えている(後者は魔王の影響かもしれない)。実家とは色々あって疎遠と言っているが、盆と正月には帰っているそうなのでそうでもないのでは?とよく言われる。考えていることがそのまま大きな独り言になって出てくる癖があり、また碌なことは考えないので、緊迫した場面にアクセント(あるいはアクシデント)を添える。本人が自覚するほどの耽美な美貌らしいが、吸血鬼は鏡に映らないので自分ではよく分かっていないらしい。それにしては相当自信があるようだ。炭水化物と揚げ物の組み合わせに王道を感じているが、真面目なので栄養バランスを整えようという意識はある。一方で生臭いものが嫌いなので血はあまり好きではないなどという強烈にワガママな一面もある。魔王とはいくとこまでいってる。


【女悪魔】(アルメニ・アートス・ウルティナス)

 魔王の側近、赤毛の女悪魔。胸が若干物足りないらしい。本人の好みでボンデージファッションを着ているが、色気が足りないと評されている。若手の堕天使で、悪魔の来歴としては古式ゆかしく由緒正しいようだ。旧帝大出身みたいなもの。ガゼルロッサとは年齢が近く、キャリアも近く、よく一緒にわちゃわちゃしている。魔王の右腕であった大悪魔ウルティナスに師事し、固有魔法である火炎の魔法を磨いている。最終目標は下剋上からの五代魔王で、今は根回し中のようだ。魔王も重々承知のうえで見守っている。上昇志向とさっぱりした性格を気に入ってか、魔王もなぜか彼女をよく使う。悪魔ぶるが根が真面目なのか、面倒見もいい。常に強気だが慎重派で、好きな言葉は暗躍。積極的に人間界で魂を稼いでおり、堅実な性格もあって貯蓄はかなりのもの。というわけでガゼルロッサへの貸しが沢山あるのだという。小食で魔界っぽい謎のゲテモノが好物。


【短足】(クリネラ・クリムゾン・スプラウト)

 生物研究班の悪魔。身も蓋もないあだ名が有名で、本名を覚えられていない疑惑がある。緊縛とかマニアックなプレイが大好きで新種の触手を開発するのがライフワーク。最近では珍しい、人間からの転生悪魔で、悪魔としてのキャリアはごく僅か。人間のうちに相当悪いことをやり尽くしてしまったようで、悪魔になってからの方が平和な生を送っているらしい。後見がゆるふわ系妖魔だったのも一因。研究班だがプライベートで魂狩りに参加することも多い。魔法も潜在能力は高いようで、固有魔法も大火力なのだが、些か修練が足りず小回りが利かない。彼なりの人生の命題を解決させるために悪魔に転じたため、その探究からは逃れえないらしい。インプリンティングと探究の一環でクロスに強い執着を持っている。愛だと言って憚らない。金髪碧眼で天使じみた相貌の男だが、容姿は恣意的に変えられる。敢えて短足なのはそれがイメージしやすかった(逆に下半身のイメージが難しかった)のと、最初にとった姿で固定したほうが都合よいと思っているから。食べ方が滅茶苦茶綺麗。


【三番】(クロス)

 魔王の直属部隊、近衛兵隊の三番狼。人狼の男で、クリネラに言わせると渋めのおっさん。無口で仏頂面、しかもその面の右半分は火傷で爛れ、眼帯と前髪で隠している親しみやすさ度外視の風貌だが、話してみると普通のおっさんである。狙撃手らしいが作戦次第ではその限りではない。「本当の名前」とかいうヒロインじみたものやら復讐心やらを抱えているが、普通のおっさんなのでなかなか踏ん切りがつかないらしい。「クロス」の名前は魔王がつけたもので、本名は隠すだけの理由があるが魔王本人があっさりとクリネラに漏らしたので余計に憎たらしい。クリネラには強引に押し倒されなし崩し的な関係だが、満更でもなかったのか気心通わせている。魔界歴の浅いクリネラには彼の背景事情は理解できていないが、複雑な背景事情に疲れているクロスにはその辺が無二。髪と尾は普段から染めている。肉食系。


【八番】(斗沢谷緋良)

 魔王の直属部隊、近衛兵の八番狼。人狼の女で、若くてナイスバディでかわいい(本人談)。人懐っこく陽気で、よく喋る。ふざけた言い回しを好む。ふざけて先輩からよく怒られるが、その割に仕事ぶりは堅実。荒れ地狼だが実家は既になく、魔王城ライフをエンジョイしている。クリネラは仕事中に喋る仲間。先輩は兄のように、後輩は弟のように。肉食系。


【十六番】(鐘樂)

 魔王の直属部隊、近衛兵の十六番。人狼の少年。軽快なフットワークとクソ生意気な弟気質。八番がホイホイされて、よく構っている。荒れ地狼で盆と正月には実家に帰っている。肉食系。


【二番】(祢屋与銀)

 魔王の直属部隊、近衛兵の二番の男。つまりナンバーツーなのだが、飄々とした適当なおっさん。いわゆるちょい悪くずれである。三番とは付き合いも長いので色々が複雑で兄貴面しているが背後から刺されても文句は言えない付き合い。また一番には頭が上がらない。妻はいないが内縁関係はいる。肉食系。


【一番】(ウィリ・ネブカドネザル)

 魔王の直属部隊、近衛兵の一番でつまり隊長。言ってみれば側近。白毛の人狼で、体格も良い。振舞いは落ち着いているが結構大胆な賭けを好んでやるタイプで、魔王が好んでいるのもそういうところ。皆の兄貴分だし十六番あたりから見ればもはや父親、そういうアットホームさが近衛兵隊の良い点でも悪い点でもある。妻帯者だし子供も五匹くらいいたと思う。肉食系。


【親衛隊長】(マイドロガノムン・メズブラディアモ)

 魔女で構成される直属部隊、親衛隊の青年。隊長には就いたばかり。親衛隊としての仕事は諸般の都合で多くはないため、研究職もこなしている才媛。生真面目な性格だが、近視眼的なところがあり、猫派。近眼で眼鏡をかけている。紫の髪と藍色の瞳の美人。一人称が「このマイドロガノムン・メズブラディアモ」であり、彼と会話すると否応なしにその名前を覚えることになる。絶対に何かを仕組んでいると思わせるような振舞いをするが、天然のもので仕組んでいることは稀である。性格は生真面目なのに部屋が滅茶苦茶汚いことで有名。研究者としては世界渡航が専門。食には適当で三食十秒チャージのときもある。


【千里眼】(フェオナイロシェット・ミーミマイア)

 魔女親衛隊の少年魔女、愛称はロシャ。鴇色の巻き毛にくろすぐりの円らな目、と耽美さには定評のあるガゼルロッサが描写している。親衛隊では唯一の千里眼持ちで、日々研鑽を積んでいる。親衛隊長を盲目的に慕っており、独占欲も強い。親衛隊長の前では猫を被っているが、それ以外の者には冷たい。露骨過ぎて誰でも分かるのだが、マイドロガノムン・メズブラディアモは何故か気づいていない。そういう鈍さがロシャの欲情を誘うようだが、他の隊員は面倒なので放置している。数少ない親衛隊の仕事も、彼は専門でかかっているため若いわりに下手すると隊長よりも熟達している。イメージ戦略のためあまーいマカロンとかふわふわの綿菓子とかをよく口にするが、見ていないところではジャンクフード生活。


【宰相】(ルキフグス)

 人間界にもその名を知られる超大物悪魔。本来こんなしょうもない魔界で宰相なんかに収まっている器ではないのだが、本部命令で出向してきている。そのため振舞いは紳士で慇懃だが魔王にもなんか偉そう。趣味と実益を兼ねた財務も担当している。そろそろ帰りたいのか、財務をガゼルロッサに引き継ごうとしている。三本の捻じれた角に禿頭、山羊の足。常に袋を携行し、その中には様々な小物が入っているが悪魔の癖に魔法でどうのではなく物理で単に入っているだけ。美食家で魔界では珍しくきちんとしたものを食べている。


【お六】(玉屋六花)

 辺境の北の山に住む人狼でも由緒正しい家柄のお嬢様。他の兄弟はそうでもないのに、彼女だけ「のじゃ」口調。結構いい歳で独身。妖艶な印象の美人だが、魔族らしく気丈。腕っぷしにも自信があり、鎖鎌をじゃらつかせる。基本的には楽天的で明るいマイペースな性格なのだが、締めるところは締める、をモットーにシビアな決断もさくさく下す。割と純情でロマンチスト、「禁断の」が付くと弱い。辺境暮らしのため文明の利器には弱い。家の女主人的な立ち位置であるようで、兄嫁にはもう少ししっかりしてほしいなどと思っているらしい。許嫁が居たものの諸般の事情で解消、遠い過去とは言うものの今も気がかりではあるらしく、墓参りは欠かさない。胸が大きい。強い女性はすぐ気に入る質で、シャンもお気に入り。肉食系。


【猫】(シャン)

 母の代から玉屋に仕えるお手伝いの猫又。お六から妹的に可愛がられている。家事全般をこなしているが、本領は狩猟にあるらしい。幻術的な魔法も少々ならば扱える。お六の言いつけはよく守る。外部の者に対しては少々突き放した言動をとってしまう。限界集落住まいなので出会いが少なく、イケメンが降ってこないかなあと思いながら夜な夜なSNSを徘徊している。枝毛をぷちぷちするのが癖。ちゅーるには屈してしまう。


【勇者】(アルト)

 テンプレによくある勇者。どれくらいテンプレかと言えば、ごく普通の日本人でトラックに轢かれて異世界転生、女神に便宜を図ってもらったが「ラノベっぽい」としか形容できない致命的な文才を備えている。ただし転生先がよくあるスーファミ程度の奥行しかないペラペラループ世界だったためちょっと発狂しそうになる。運よく悪魔と交渉し、逆に世界を発狂させた見込みのある勇者。もう同じ時間を五百週くらいしているので仲間とは気心の知れた仲のはずだが、生来の敢えて空気読まないなのでよく話がかみ合わなくなる。


【姫】(アリシア)

 王国の姫。姫なのになぜか勇者の旅に付いて行くことを宿命づけられている。相当不満が溜まっていたようで、性格もちょっとやさぐれてきた。内面はツッコミ気質だったようだ。色々あって美女からケサランパサラン。


【魔女】(アルモレナーラ・空知野)

 「アナ」って呼んでほしいのに呼んでくれない痴女ルックの魔女っ子お姉さん。世界管理団体的なものに所属している。母親は魔女の谷の魔女で魔族特有のノリの軽さもある。可愛いものと甘いものには目がなく、地元ゆるキャラ「ピーマンマン」を推している。分かった口を利くが、実のところカマをかけているだけ、ということがよくある。詰めが甘くて致命的な失敗も多いが、愛嬌で誤魔化してしまう。二つ折り携帯全盛期の日本に八畳間の拠点を構えており、恋人と仲睦まじくやっている。胸が大きい。コンビニで新商品に食いつくタイプ。


【林檎の乙女】(マリア)

 どこまでも続く林檎畑の主。麦の穂のような金髪に、空色の瞳の少女。天真爛漫かつ物おじしない性格の超大物。時が来るのを気長に待っている。もちろん林檎が好き。

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