第18話 エピローグ そして、さらに異世界から降ってきた少女

 戦いは終わった。エミレールとレオーナの指示を受けて、悪魔達と王国の人々はそれぞれに騒ぎの広まらないうちに帰ることになった。

 ニュースは最初のうちこそ話題になっていたが、新しい情報も無いし、他のニュースが出てくると世間の興味はそっちに移っていった。

 王国と魔王軍の間では和解が成立し、記念のパーティーが開かれた。勇希もそれに参加した。

 それも終わって自分の部屋に戻ってくると、世界の平和を実感してしまう。

 何も変わらないように思える日常。変わったことと言えば異世界に行っている間に母さんも旅に出たということだろうか。きっと父の後を追っていったんだろうと勇希は思った。

 一人の家は静かだ。ゆっくりとしたい気分だったが、今日は約束があった。エミレールにこの町を見せてあげると約束していたのだ。


 休日の人で賑わう商店街前の広場。

 待ち合わせ場所に行くとエミレールは控えめなワンピースを着て待っていた。隣にいたドレスの少女はとても目立っていて人々の注目を集めていた。

 居心地の悪そうにしている少女と向日葵のように微笑む少女の元に勇希は駆け寄っていった。

「お待たせ、エミレール。どうしてレオーナさんが一緒にいるの?」

「ゲートを使わせてもらいに行ったら、この女が一緒に来ると言い出したのだ」

「わたしも勇希さんの町が見たかったのです」

 召喚の杖は再びレオーナの元に戻っていた。神から授けられていただけあってレオーナはエミレールよりずっと召喚の杖の扱いに長けていて、地域を魔界化しなくてもこちらからゲートを繋げることも出来た。

「じゃあ、行こうか」

 二人は仲良く出来るか勇希は不安に思ったが、珍しい街並みに二人はすぐに夢中になって意気統合していた。勇希の方が仲間外れを感じるぐらいだった。

 朝の町を歩いてから昼食を取りに店に入る。

「この食べ物はおいしいな」

「ハンバーガーって言うんだよ」

「この飲み物もおいしいです」

「あ、コーラは一気に飲まない方がいいよ」

 二人に気に入ってもらって勇希も幸せな気分だった。

「どこか行きたいところはある?」

 町の観光案内のパンフレットを見ながら相談する。

「わたしは水族館に行きたい。イルカというのがジャンプするんだろう?」

「映画というものが見たいです。勇希様とロマンチックな気分に」

「じゃあ、近くの水族館から行こうか」

 そう決めて店を出て三人で外を歩いていく。ふと空を見上げると太陽の日差しが眩しかった。空は青く澄み渡り、飛ぶ黄金色の巨大な鳥もよく見えていた。

「って、黄金色の大きな鳥!?」

「こちらの世界にはああいうのもいるんですね」

「いや、いないよ!」

 レオーナの呑気な声に勇希は突っ込む。

「わたしはもっと近くであれを見たい。デスヴレイズを呼んでいいか?」

「いやいや、駄目だから。ここは人目が多いから」

 エミレールの緊張感の無い言葉に勇希は断りを入れる。

 そうしている間に周囲では騒ぎが起こった。見上げる人が空を指さす。

「見ろ! 空から人が!」

「え!?」

 見ると、金色の髪をした妖精のような綺麗な女の子が落ちてくるのが見えた。彼女は気を失っているようだった。

 勇希に迷う暇は無かった。

「ゴウ! ゴッドジャスティス!」

 彼女を助けるために自分のロボットを呼んだ。

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