魔法使いシリーズ番外編

小鳥屋エム

フェレスの独り言




 フェレは、リコラのおっちゃんのところへ遊びに行くのが好き。

 だーいすきなシウがときどき連れて行ってくれるの。

 そこでおっきな馬のおばちゃんに、ずつきされるのが楽しい。

 馬じゃないよ、りゅうばだよ、とシウは言うけど、フェレはあれはおっきくてかたい馬だと思うの。

 おばちゃんはアロなんとかって呼ばれてて、頭でごっつんごっつんしてくれるから、あっちにこっちに転がっていくよ。

 そしたら、みんながおもしろいの、って聞いてくる。

 おもしろいよーって言ったら、おバカだねって笑うの。おもしろかったみたい。

 でも、おしごとから帰ってきたおっきな馬のおじちゃんが、おばちゃんとフェレを見て怒っちゃうの。

 おじちゃん、どうしたのって聞いたら、お前アロなんとかとくっつくなとか、むずかしいこと言うのね。

 フェレは分かんないから、みんなにごっつんしにいった。

 毛皮がいっぱいのおねえちゃんは、尻尾でぱしん、って遊んでくれた。

 こわーいお顔のおじちゃんは、やれやれって言ってお尻で押してくれたの。

 うれしくてのぼって、つるーんって降りたら、毛皮のおねえちゃんに怒られちゃった。こわい顔のおじちゃんはおじいちゃんなんだって。

 おじいちゃんは、スタンのおじいちゃんとおなじってことだよ。

 フェレといっぱい遊んでくれるの。だーいすき。

 シウも好き。

 ぱんけーきも好き。

 あ、きれいな石も好き。

 おっきな馬のおじちゃんに「見る?」って聞いたら、がるるっ、って怒られちゃった!

 おこりんぼだね。

 ええと、ええと、シウが言ってたよ。おこりんぼなのは、カルなんとかがないの。

 かわいそうね。

 フェレがなぐさめてあげるの。なぐさめるっていうのは、やさしくすることなんだって。シウがえほんでおしえてくれたから、フェレ、かしこいよ。

 おじちゃん、おじちゃん、ってかけよったら、おじちゃんが前足をたかーくあげたの。そしたらおばちゃんが、マホー使ったよ。ふわんって風がふいた! 

 びっくりして、ころんてなったら、シウが来てくれた。

 ダメだよ、あんまりみんなにめいわくかけちゃ、だって。

 にこにこだから、いいお話みたい。リコラのおっちゃんは、あまやかかかか? なんとかって言ってた。へーんなお顔。

 シウはねえ、いっつも、にこにこなの。

 フェレ、ほかの人のお顔より、シウのにこにこが好き。

 にこにこだねえって、スタンのおじいちゃんが言ったから、にこにこなの。

 うれしくなって、フェレがだーいすきって言ったら、シウも、ぼくもだよって!

 にゃ!! 

 やっぱり、フェレ、いちばん好きなのはシウ!!!!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る