キャラメ・土方歳三~6~



(貴女は昼間の巡察中、不逞浪士に遭遇し相手の剣先が貴女の腕を掠め怪我をしてしまう。

貴女は咄嗟に、『土方さんに怒られる!』と思い、怪我したことを隠したまま、夜まで自室に閉じ籠って溜め息を吐いていた時。


頭を離れなかった人物の声が襖を挟んで聴こえてきた)


おい?


いるのか…?


…入るぞ。


(貴女が小さく返事をすると、声の主が襖を開けて静かに入ってきた)


どうした由希、飯も食わねぇで。


なにか…あったのか?


(黙って横に首を振る貴女に、土方は不審に感じ視線を貴女の格好へ移すと、少し破れた服の袖の中に出来てる傷が目に入る)


…!お前っ、そこどうした!?


怪我してんじゃねぇか!


何で言わなかった!?


…怒られると思ったから、だと?


…はぁ。


良いか、


黙ってる方が怒るのを覚えとけ。


それに…心配はするが、こんなことくれぇじゃ俺は怒らねぇよ。


ったく!


腕貸せっ!


…じっとしてろよ?


(土方は貴女の腕を取り、素早く手当てする)


ほら、終わったぜ。


…まだ痛むか?


(大丈夫ですと答えると)


そうか…


良く聞け。


怪我するなとは言わねぇ。


でも無理だけはすんな。


その、少なくとも…俺の前でだけは、弱い部分も見せろ…


分かったら返事!


良し!


んじゃ、今日は大人しくしとけ。


俺は仕事が残ってるから戻るが…


しばらくは寝ねぇから。


…飯、食えそうになったら…


遠慮なくいつでも俺に言えよ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る