「女性国会議員が『子どもを作らない』から生産性がないと言った件」




 皆さんはすでに杉田水脈議員が書いた、新潮45の『「LGBT支援」の度が過ぎる』を読んだだろうか。私は尾辻かな子議員のTweetを見て、「これはやばい」と思い、杉田議員がちゃんと全文読んでから批判しろと言っていたので、全文を読んだ。

 その上で、今非常に腹が立っている。

 全文を読むとTwitterで出回っている部分をサクッと上回る『ヤバさ』が見て取れるので、ぜひ読んで見てほしいわけだが、こんな文章にお金を払うのはばかばかしいとも思うので、そこらへんはご理解の上で購買に進むといいと思う。ただ、読んだ後に行き場のない怒りがかなりこみ上げてくるので、そういう方はブログやTwitterなどのSNSに批判文を書いて欲しい。

 今回の件に関しては、「生産性」という言葉が用いられており、LGBTだけの問題ではなくなっている。そのため、マジョリティの意見をたくさん聞くことができるいい機会であると私は考えている。

 一つ心配なのは、カクヨムでこの文章がアウトかどうかということ。もしだめならほかに移そうと思うが、LGBT関連のエッセイを書いているのはここだけなので感情が向かうままに書かせて欲しい。


 前置きもさておき、まず、非常に腹が立つのは皆さんが言っている通り、「子どもを作らない=生産性がない」と彼女が主張していること。これは何が問題点なのかは明白である。お分かりの通り、何かしらの理由があり子どもを作ることができない女性や、子どもを持たない夫婦は生産性がないのだろうか。そんなことがあるわけがないし、それより前に戻って考えると人を生産性で例えるのはほとほとおかしい。ありえない。

 子どもを作れない人には税金は使うなと書いておきながら、不妊治療には少子化対策という大義名分があるから税金を使うのは問題ないと書いてある。次の文章で、彼女の主張は破綻しているところもバカバカしく、この人の書いた文章を擁護している人たちの文章読解力を正直疑いたくなる。

 不妊治療をしている人たちは、少子化対策のために行なっている訳ではない。愛するパートナーの子どもが欲しいから不妊治療を行なっているのだ。そこも間違えないで欲しい。まるで少子化に歯止めをかけるために子どもを作っているなんて思わないで欲しい。少子化のために自分が作られたなんて思いたくないと思うし、彼女自身が自分の子どもに対して「あなたは少子化対策のためにパパと作ったのよ」なんて決して言ってないことを願っている。

 同性愛カップルだって、子どもが欲しいと思えば海外では人工授精だってできるし、養子もとることができる。海外で子育てをしている同性カップルも、彼女から言わせれば少子化を食い止める子どもを作り出すことができないから”生産性”がないのだろうか。異性愛者と同じように毎日会社に勤めて、お金を稼いで、そのお金をまた社会に返しても、彼女から言わせれば”生産性”はゼロなのだ。

 では彼女の主張する”生産性”がある人間になるためには、子どもをたくさん産めばいいのだろうか。まるで一昔前、いや、はるか太古の思考である。


 というか、前提として彼女はLGBTの知識をあまり持っていないように見受けられる。上澄みだけ掬っているだけ。まず、使われている語句が「性転換手術」はもう「性別適合手術」という言葉を使うようになっているし、「トランスジェンダーは障害」ではもはやないし、「LGBは性的嗜好」なんて書かれている。嗜好とは簡単にいうとフェチのことだ。全く異なるものである。しかし2回目には「性的指向」という言葉が使われており、これが単なるミスだとしたら、新潮の編集さんが半分寝ながら赤入れしたんじゃないかと思う。まあ、この感じだと2回目に出てきた「性的指向」はコピペなんじゃないかとも思うけど。やば。


 「女子校では、同級生や先輩といった女性が疑似恋愛の対象になり、それは一過性で成長するにつれてみんな男性と恋愛する!普通に結婚するよ!」と書いてあるところも、かなり問題だ。別に私が仮に女子校にいたとしても、同級生や先輩は好きにならない。私の性的指向は男性に向いているからだ。そして、私と同じように性的指向が女性にしか向かない人は、女性を好きになるのが「普通」だから女性と恋愛をする。セクシュアリティは時とともに変わる場合ももちろんあるが、変わらないことも多いにある。

 何より、自分の立場が「みんな」の意見になってしまうのだということがやばい。相手の立場に立つことができない人間ということが見て取れる。政治家は、国民の代表である。民意を政治に反映することが必要なのに、その民意は自分の意見に基づいてしまうのだ。それ以外は民意ではないのだ。こんな人が政治家である日本は、今後どのような国になるのだろうか。


 高校生への調査に対しては、メディアや世の中がLGBTと騒ぐから、「男女わからない」高校生が出てくるなんて書かれているが、そんなわけがないじゃないか。だってメディアは同性愛者に関することやトランスジェンダーに関することを報道するばかりで、Xジェンダーに関して報道されることなんて年に数回しかないのだから。そしてそれを”思春期の不安定な時期”の子どもたちが見る確率なんて、たかが知れている。


 LGBTのトイレの問題に関しても触れており、トランスジェンダーに適用したらレズビアンやゲイにも適用される可能性があるなんて主張をしているけれど、彼女が引用している「心の性”に応じてトイレや更衣室を使えるようにする」という文章のように、「好きな性別のトイレ」に入れるようにするわけではないから、それはほぼないと思う。だって彼らは身体の性別と心の性別は一致しているから。本当に、自分で引用してきた文章をちゃんと読んで理解してからもう一度考え直してくれ。頼む。


 多様性を受け入れて様々な性的指向を認めることは、同性婚だけではなく兄妹婚、親子婚、ペット婚、機械婚などの声も上がる、海外ではそういう人たちがいるなんて書いてあるけど、どこにそのようなデータがあるのだろうか。見せて欲しい。というか、まず多様性を履き違えているので根本的なところから勉強をし直してくれ。頼む。


 もうなんかこうやって一段落ずつ矛盾や間違っている考え方を潰していくのにも疲れる。読めば読むほどおかしい部分がボロボロ出てくるのだから。


 最後に、何より腹がたつのは、上記の主張を同じ女性が、しかも政治家が行なっているというところにある。女性として、人を「生産性」で測るのは許せるのだろうか? レイプをされた人をさらに攻撃するなど、許せることだろうか?? 本当に信じられず、こんな人が日本を動かしているのかと思うと、今すぐ日本を脱出したくなってくる。こんな人を支持していいのか? もう一度よく考えてほしい。


 まだまだ言わなければいけないこともたくさんあるが、とりあえず今回はここまでにしておこうと思う。

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