第13話 ロザ・ムーナ

猫雪夜の件もあり、私は相当雪夜に警戒される身となった。

当然っちゃあ当然なんだけどね。

でも私を変人に仕立て上げたあいつが悪い!

私はそう断言したものの、少し不安もあった。

雪夜がいないと世翔夜について何もわからないような気がするからだ。

まあ、必要になったら使えばいいし問題ないさ。


その日の夜、私はカーテンを閉めて学校の課題をしていた。

横からは私の大好きな音楽が鳴っている。軽快なリズムに合わせて

口ずさんでいると、ドーンと何かが爆発したような音がした。

また誰かやらかしたのか。

それにしては外が騒がしすぎる。

頭の中にスッと最悪の事態が思い描かれた。

この10年間何も起こらなかったのにいきなりなんだというんだ。

外を見ようとカーテンを見ると黒い影が映っていた。


「誰なの!」


そう言ってカーテンを破くような勢いで開けた。

裾の長い服、フード、よく言う魔法使いの服だ。

顔の見えない服。私に気づいたそいつはいきなり攻撃魔法を出してきた。

起動色から言ってカイだろう。この程度の魔法ならばわざわざ魔法を使わなくとも避けられる。そして明るい玉が放たれた。

それわ難なく避け、続いてファイをお見舞いしてやった。

その服の裾の部分から燃えていく。


「うわぁぁ、みずみず!」


なんて間抜けなことを言いながら逃げって言った。

背中には赤い満月が描かれていた。


「舞夢様!お怪我はありませんか!?」


鈴ちゃんがバン!とドアをぶち壊して入ってきた。

ドアの修理代が...。


「うん。大丈夫。それよりこの状況は何?」


そう聞くと鈴ちゃんは今までの笑みが消え、ふっと冷静な顔になった。

これだけでわかる。この状況の深刻さを。


「はい、実は............」


鈴ちゃんは淡々と話した。

まとめると、いきなりもんが破られて集団に襲われたようだ。

そこで使用人達全員でやっとの思いで倒したと。

そして狙いは私だと。それにいち早く気づき、私の部屋を魔法で何重にも

気配を消したらしい。


「で、そいつらは何なの」


「はい、多分ロザ・ムーナだと思われます」


「ロザ・ムーナ」


私はゆっくりと静かにその名前を発した。

そいつらは有名な魔法使い集団で、何が目的かわまだわかっていない。

そして、その何らかの目的を果たすために様々な場所を襲っている。

そいつらにやられた人数はもう数え切れない。


「舞夢様、どうしますか」


「この件については一旦内密に。少し考えてからどう対処するか公表します」


「了解しました」


鈴ちゃんは静かに部屋を出て行った。

ベランダに出て、プランターのところに行った。

案の定土は溢れプランターは割れ、茎は折れていた。


「フリア・リーン・クライト・モーラ・キガン」


そう言って、花たちを再生させた。

この魔法は三大名門のみに許される、というかできない魔法だ。

再生魔法で、魔力の強いものは人間の蘇生だってできる。

しかし、このことは悪用されると考えられ、世間一般には

壊れたものを再生する魔法として知られている。

再生された花々を見ながら、私はソファに腰掛けた。

体をそっと受け止めてくれるソファ、そしてふわっお漂う花の香り。

私はあんなことがあったというのに、とても安心できた。

運のいいことにソファには傷一つ付いていなかった。


「ロザ・ムーナか。どうしようかな。まずは名門集会で議題にしてみるか」


「よいしょっと」ソファから立ち上がり、ベッドにダイブした。

襲いくる睡魔に負けて、すぐに眠りについた。

そして私は忘れていた。

           


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課題が残っていることを忘れて。




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