第4話 放送部編 完結

 真美は目を覚ました。保健室のベットである。

「先輩、大丈夫ですか?」

放送部の後輩たちが真美の顔を覗き込むように見ていた。ゆっくりと体を起き上がらせ、辺りを見回す。自らを覗き込むうちの一人が口を開いた。

「真美さん、びっくりしましたよ。急に放送室で倒れるんですから」

片手で頭を支えるように考え込む。自分は放送室にいた。そこから急に記憶が薄れていく。

まるでブラン管のテレビのように砂嵐がかかる。大事なところが抜け落ちている。

「きっと、過労ですよ。先輩もたまには休んでくだ――」

「ねぇ、私のほかに。誰か放送室にいなかった?」

そこにいる全員に、そして私自身に質問をした。

「・・・」

少し場がざわつく、そして一人が口を開く。

「いえ、先輩以外誰も――」

いったん考えることを止めると一気に気を苦を失っていった。


 真美はある日放送室に入った。マイクの前に立つ。するとマイクの下には白く、リンゴの破片のようなものがあった。真美はそれを邪魔だと思いごみ箱に捨てた。

 噂とは不確実。人から人に伝わるにつれ、変化していく。幽霊が出現する条件は放送部が好きなこと、放送部員であること、夜学校にいること、女声であること。そして声を奪うのではない。喉を奪う。白いリンゴのかけら。その正体は、喉仏であった。

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