にゃべ♪の適当詩集 2008

にゃべ♪

冬の妖精

 遠く風たちが遊んでる

 水墨画に染められた空の上で

 磨りガラスの向こう側の本当の景色


 ほらほらほら もうすぐだよ

 もうすぐ僕たちが遊びに行くよ

 向こうの山の向こうからそおっとね


 耳を澄ましているといいよ

 風が止んだら窓の外を見るといいよ

 不思議な予感に胸躍らせていてよ


 白い白い妖精さん

 ニコニコ笑ってやってくる

 悪戯好きの妖精さん

 街の景色を自分の色に塗り替える


 あの高い高いビルにもね

 それぞれの家々の屋根にもね

 人通りのなくなった橋にもね


 電気の消えた工場にもね

 カマボコドームの体育館にもね

 もう誰も居ない学校にもね


 黒いアスファルトの道路にもね

 駐車場でじっとしてる車にもね

 野菜たちの眠る畑にもね

 今はただ春を待つ田んぼにもね

 そっと天を仰ぐ神社の鳥居の上にもね


 寂しい遊具たちの並ぶ公園の上にもね

 もう誰も来る事のない廃墟の上にもね

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