奇跡

ありふれた午後に

闇深い幕を引いてあげる

その真っ直ぐな

瞳で見透かして


僕の背景には

息づく人も

走る車もない

街なんてもってのほか


近づいて触れてごらん


何も云わないのは

何も無かったから


歩いてきた時間も

思い出にはならない


白い部屋で

黒い服を着て

息を殺して

怯えていただけ


正常な世界に

生きる君に

差し出せる物を

探しているけれど

欠片さえ見つからなくて


氷のようなあきらめが

丸腰の僕を支配していく

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