お片づけは、本当に大事なものを思い出すということ。

イギリスの小さな町に住む日本人マキカは、「お片づけ」依頼を受ける。
80歳のミルドレットの家は、途轍もないゴミ屋敷だった。
行政が強制的に全部捨てる前に、片付けることはできるのか?

マキカはプロフェッショナル・オーガナイザー。
掃除、ではなく、依頼人が家を片付ける手伝いをする仕事。
翻訳物のような、ユーモアたっぷりの文章で綴られる英国の暮らしはとても素敵。
口の達者なミルドレットとのやりとりや注釈は、読んでいて笑えます。

西暦2000年、という舞台は現代に思えますが、ジャンルは「歴史・時代・伝奇」。
片付けの過程で、少しずつ明らかになっていく、ミルドレットの人生。
ミルドレットが物を溜め込むようになったのには、わけがある。
サンディたちが、ミルドレットを助けたいと思うのにも、わけがある。
『呪い』を発見した瞬間の、マキカの怒り。マキカ自身の人生も垣間見えます。
(この物語の本筋ではないですが。)

若きミルドレッドが、サンディと父親に対して言う
「この国の歴史で初めて~」
という言葉は、すごく重い。

連載中、ずっと更新が待ち遠しい作品でした。
有難うございました。

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