特進インキャに、恋するなんて

尾木岩夫

第1話 昔はモテたんだよ。

昔はモテた。

俺が心の中でよく使う言葉ランキングで上位にはいる。

辞書風にかけば

[昔はモテた]リア充を見るとイライラすると同時に考える言葉。

昔はモテたから、まだ余裕があると思いたい時に使う自己肯定的な言葉

なぜこの言葉が出てくるか、俺の過去に遡る。


小学生の時は、なんとかちゃんが君のことーーーーみたいなこと言われたもんだ。それにバレンタインにはチョコをもらい告白もされた。だが俺は断った。好きな人がいるからと。(その事は言わず、断った)俺はその好きな子に告白しようと全力であたふたしていた。

その子は、ハーフで容姿端麗。宝石のようなキラキラした目で話しかけてくる明るさに惹かれたのだろう。

しかし、その眩しさゆえに中学になっても告白できなかった。小中高一貫だったため、そのままその子とは一緒に中学生になったのだが。


実はモデルになっていたらしく、中学で事務所に近い学校に転校し、数週間で学校に来なくなっていた。

それにともない、中学から入った女子に目移りし始めていた。昔告白してくれた子もとっくに彼氏がいたし。


俺自身焦っていた。


そして2年の頃、女子と付き合ってみた。そこそこ可愛かったし、この子と恋を実らせよう!なんて意気込んでいたものの、俺が初恋相手に今まで告白できなかった特性が災いを呼んだ。



初デート。一言も話せずに終わった。(笑)一言二言はあったものの、会話という会話は成立しなかった。

無論フラれた。


理由


面白くない。


この頃、高校の進路で特進クラスに入るため勉強し始めており、彼女を支えにーーーーとか思っていた俺にとって、その支えが瞬殺でなくなり、俺は途方にくれていた。


そんなとき、出会ってしまったのだ。


萌アニメという麻薬に…


勉強が嫌でしょうがなかった俺にとって、可愛い女の子達が全力でキラキラしているのをみていると心が癒され、気付いたらそれこそが彼女同然と化していた。

デートをしなくてもよく会話をしなくても励ましてくれる彼女は、勉強をする俺にとってまさに至高だ。結果、特進クラスには合格した。


しかし、あることに気付いた。


高校で俺インキャじゃね?


そう、中学でアニメにはまったことをさらけ出しはしゃいでた俺にアタックしてくる女子はいないし、無口クール系だった俺は、オタ認定そしてかつ、インキャラ認定されたまま高校に入ったのだった。


まあ、顔はましな方だし高校では何人かアタックしてくるだろう。新しい人はくるし、なんせみんなエンジョイするだろうし…

うちの学校は大学もあるため、特進以外はほぼほぼエンジョイ勢だった。新しい人も入ってくるし、インキャなんて払拭できるだろ。w


昔はモテたし☺ 


詰めが甘かった。高校は小中とは訳が違う。

顔はもちろん、面白い性格か、流行に敏感か、話が通じるか、などなど。様々なステータスが必要とされる。


そんな世界だった。無口な敷居高めの男など見向きもしない。


そんな世界だった。


もちろんオタクなど、入り込める隙もない。 そして特進クラスでは、もはや彼女を作る事など不可能だった。

特進の女子など、想像のまま。俺の付き合いたいようなタイプはおらず、運動しないため足がむくんだ奴とか、白髪だらけの不清潔な奴ばっか。それ以前に、男に興味がない。

俺は、容姿端麗なお上品な女の子してる子が好きなのに。


特に脚。


高校は勉強に捧げよう。そして大学受験したあかつきには、脱インキャラしようと、心に誓っていた。


昔はモテたから☺


秋になり、勉強するサイクルができてきた頃。俺の前に颯爽と現れた美少女がいた。

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