第19話 消去

記憶は都合よく書き換えられる。

それは心を守るため。


じゃあ…ツラい記憶や悲しい記憶は、なぜ幸せな記憶に書き換えられないのだろう。

いつまでも…いつまでも…僕の心で蠢いている。

それは湧き続けるむしのように…ウズウズと湧いて心の中を這いまわる。


恨みも消えない…記憶のひとつ。

いつまでも…いつまでも…僕の心で沸騰し続ける。

それは理性を溶かし続けるかのように…グツグツと心で煮えたぎる。


書き換えられるなら…書き換えて欲しい。

幸せでなくていいんだ。


ただ忘れさせてほしいだけ…。

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