第5話 月光

月の光…そんなものない…。

月は光らない…。


月面には何も無い…。


それでもヒトは月に神秘性を感じる。

羨ましいと思う。


自身には何も無いのに…照らされて…その姿は神秘性を夜空に浮かび上がらせる。

満月でも…三日月でも…いかように姿を変えてもヒトは魅了される。


思うことがある。


誰にも見向かれないって…居ないと同じじゃないかと…。

僕は…なんで存在しているのだろう…いや…存在って他人在りきじゃないのだろうか。


照らされている月…その光は借り物だ。

「お前のものじゃないのに…」


見上げる夜空に…僕は…。

よく解るよ…僕はきっと、その闇の中にいる…暗い闇に黒い僕はソコにいる。

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