I am BRAVE!!

@ndaihachi

第一章 勇者、誕生

―ツトム― 転生話とか、召喚話とか、馬鹿にしてた僕が異世界に召喚された件①




 僕は、走っている。

 ――何で? 自分の足で?




 自転車で、慌てて走っている。

 ――何故?




 訳も分からず慌てた様子で走る。

 ――走る、走る、走る。




 突然、大きな音が聞こえた

 ――クラクション? 車?




 それがトラックだと気付いた時

 

 

 

 ――僕は、無残にも跳ね飛ばされていた――






 ――そして、意識……が遠……く…………………………






――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「……しゃさま!勇者様!!」

 ……何だ? 女の子の、声?


「……んんっ。」

「あ、目を覚まされたんですね? 勇者様。」

 ふと、目を開けてみる。すると――

 

 

 

 ――金髪巨乳美少女が覗いていた。

 まるでこの世の物とは思えないような――

 

 

 

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」




「ひゃああっっ!!!」

 な、何だ? 本物? 二次元……じゃないよね。え?

 

「き、きき、君は誰?!! ここは何処!! 僕は誰!!!」

「お、お、落ち着いてください! 勇者様!!」

「ゆ、勇者様ァァッ?!!」

「ひえっ!!」

 な、何? 何なの? ここ? え? え?

 心を落ち着かして彼女を見ると、彼女の頭に輪っか、背中には羽がついており、白い服を着ていた。

 も、もしかして…天使…。え、嘘? 本当に二次元? というか、この子……

 

「あ、あの、勇者様……?」

「か……」

「はい……?」




「可愛い……。」




「……へ?」

「可愛い……綺麗だ……。ずっと見ていたいくらいに……。」

「……へ……へぇっ!!!!」

 目の前の天使は言葉を理解した瞬間、真っ赤になった。

 ……真っ赤になった顔も可愛いなぁ……。


「ゆ、ゆっ、ゆうしゃしゃまぁ!! しょ、しょのような事は、恥じゅかしいので……ううっ……」

 僕の止まない賛辞に、天使は慌て、言葉を噛みまっくていた。

 ……慌ててる姿もかわいいなぁ……噛んでるとこも可愛い……!



 

「ウォッホン!!」




「「っ!!!」」

 な、何だ? このわざとらしい咳は?

 後ろを振り返ると、いかにも――創作でよくある神様が着ている――白い服を着た老人が立っていた。

 

「はしゃいでいる所を悪いが、もう良いかの?」

「あ……はい……すみません。」

 威厳のある老人に咎められ、僕は少しへこむ。

 

 

 

「さて、と。――よく来た、勇者の資格を持つものよ! ここは、ブレイブシェル! わしらの住処である天界の一つであり、お主のような勇者を迎える場所である! 

 そして、ワシがこの天界の住人でありこの世界の神の一人、ウルトラス……「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!!!」ええい、何じゃい!! ワシの高尚な演説を邪魔しおって!!!」

 

 

 

 高尚って……。自分から「高尚」とか言っちゃう人――人かも分からないけど――って……。

 でも、今はそんな事を気にしてる状況じゃない!!

 

「女の子も言ってましたけど……さっきから勇者、って何ですか? ブレイブシェル? 第一ここ何処なんですか?! 僕も誰だか……!!」

 僕は、この状況に言葉をまくし立てるしかできない。

 

「…………そういえば、お主と「リーベ」がいちゃいちゃしているのを呆れて見ていて、すっかり忘れておったな。」

「いちゃっ……!! ご、ごめんなさい!!」

 リーベって言うんだ、あの子……。……やっぱり、見れば見るほど可愛いなぁ……。僕も彼女作るならああいう子が……。

 

 

 

「おーい。」

 杖で頭を軽く叩かれる。


「……はっ!!」

「「はっ!!」って……。お主……。」

 はぁ、と溜息をつかれる。


「色々と突っ込みたい事はあるが……まあよい。まずは、お主の疑問に答えねばならぬからな。」

 そうだ、そうだった。僕は、色々と聞かねばならない。

 

「さて、まずはお主の事じゃが…………むぅ……。」

 ……? どうしたんだ?

 

「なんと言えば良いのやら……。ふむ……。そうじゃな……。」

 老人――ウルトラスさんだったっけ?――がかなり考え込んでる。

 かなり言いにくい事っぽいけど……。


「お前さんの世界では確か、なんじゃったか……異世界転移、だったか? いや、この場合は、転生かのう。」

 ……異世界転移? 転生? それって……。

 

 

 

「あの「俺TUEEEEE!!!」の代表格ですよね? まほうだったり、ロケランだったり? 何だったりで無双するっていう。しまいには、居酒屋だったり、時戻しだったり、色んな物で無双する下らないジャンルじゃないですか。何ですか? 僕異世界に来たんですか? 超能力とか、色々無双出来るんですよね? ワーウレシイナー。hahahahaha…………。」




「………………何じゃコイツ。」

 ウルトラスさんがいかにも可哀想な物を見るような目で僕を見てきた。リーベちゃんも呆然としている。でも、そんな事はどうでもいい。

 

 僕は、異世界転移とか異世界転生のような現実からかけ離れた物語が嫌いだ。初めて見たときからあの痛々しさというか……とにかく色々と気に食わない。

 あんな事、現実に起こりはしないのに……下らない現実なんかに。

 

 

 

 ……「下らない現実」?

 

 

 

 下らない……? 何が……? そういえば、何で僕はここに? あの時、僕は××××で×××らに追いかけられて、それで××ッ×に……。

 

「う……ぐぅっ……ッ!!」

 頭が……痛い……!! 僕は……何を……。

 

「だ、大丈夫ですか!!」

「……う、うん……。ちょっと…………ね? ……だ、大丈夫、だから。」

 突然の頭痛に、痛みをこらえながらもそう答える。……やっぱりいい子だな~この子……。

 

「ふむ……どうやら、記憶の混乱が起きてるようじゃな。」

 ウルトラスさんがそう言った。記憶の混乱……?

 

「…! ここは異世界なんですよね! 何で僕はここに……。」

 そうだ。さっきから、それが気になる。一体ここは……。

 

「……ふむ…………落ち着いて、聞くのだぞ。」

 ウルトラスさんが真剣になる。

 

「お主がここに来た理由。それは――」




「――お主は、元の世界では死んでるからじゃよ。」




「……………………………………………………は?」

 理解が追い付かなかった。死んでる? 僕が?

 

「……ああ、そうですよね。大抵異世界ものって主人公が大体死んで異世界に来てますもんね。いやでも転移ですよね? あ、転生とも言ってましたよね? そうですよね~……僕がここに来たのも死んだから……






 ……………………………嘘ですよね?」

 これが僕の勇者としての始まりだった。

 

 

 

 

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