Middle1: 四面楚歌な廃棄区画

GM:FHの監視網を潜り抜け、竜胆は廃棄区画までやってきた。四方10km、全てにFHの目が行き届いている……少なくとも、一般人はこの区画に入ることも出ることも不可能。貴方はそう確信する。


竜胆:「物々しいな……それでも捕まって無いんだから余程強力なジャームなんだろうな、“ヘカトンケイル”は」

 とりあえず、ヘカトンケイルを探そう。手がかりが無いなら区画内をしらみ潰しに探して回るしかないか……?


GM:じゃあ、ちょっと知覚で振ってもらおうか。難易度は5だ。


竜胆:1dしか無いんだが? お、9。良い出目だ。


GM:では、ある廃工場の一つに人の気配を感じる。


竜胆:「中にも監視がいるのか? 流石に面倒だな……」

 可能な限りそろーりと近づいて中を伺おう。


GM:ではフランコイズ、シーンインするのだ。


フランコイズ:登場侵蝕はまた9。よほど強力なジャームなのか、レネゲイドが高ぶる……そんなことを考えてる。


GM:ハッスルしてるな……では貴方も知覚で振るのだ、難易度は“9”。


フランコイズ:私がリアクション側ってことか。出目は9。


GM:では、待機していた貴方は何者かが忍び寄ってくるのを感じる。



 壁の陰から僅かに顔をのぞかせた竜胆の姿を、フランコイズの瞳が捉える。

「今日この区画に人間はいないはずなんだけど……ねえ、あなたは、私の王子さま?」

 フランコイズ……“マスターライラック”は、そう言って無邪気な笑顔を見せた。



竜胆:「うおっ?!」

 とりあえずまずは普通にビビっておこう(笑)


GM:選択肢を間違えたら好感度が下がって死ぬパターン……!


フランコイズ:「ねえ? 今ならまだ生きて帰れるかもよ? あなたは、私の王子さま?」


GM:そして曖昧な逃げを許さないスタイル……!


竜胆:と、とりあえず王子様の意味が分からないので答えない。代わりに、

「君は、FHの……? いや、それはいいか。ここには危険な物がいるんだ。君のような少女が来るところではない。つまり、その、危ないから……」とろくろを回す。


フランコイズ:姿を現した竜胆を見て、正体に気づくわ。

「その格好、その両手の鱗……あなた、“シュバルツォルム”ね。UGN急進派の精鋭が、なんでこんなところに? この一帯は今日は人払いがされているはず。答えて。あなた、なんでこんなところにいるの?」



 彼女がそう言うと、一帯にワーディングが張られる。マスタークラスのワーディング――普通のオーヴァードなら立っていることさえ危ういような、強烈なワーディングだ。

 ビリビリと肌を振るわせるような重圧。少女の付近のコンテナや荷物は砂になって崩れ落ちる。その範囲は着々と広がり、倉庫全体から砂の煙が立ち上り始める。



竜胆:怖い……! それはかなり戸惑った顔をするな。

「俺の事を知ってるのか! いや、それよりこのワーディング……君は、一体……? いや、待て、待ってくれ! 俺は戦う気は無い、“ヘカトンケイル”を探してるだけなんだ!」

 ……と露骨に口を滑らせつつ両手を上げて戦意が無いことを示す。

「というかこのままだと建物が崩れるからとりあえずそのワーディングを止めてくれ!」


フランコイズ:「……あなた、“ヘカトンケイル”を知っているの? 残念、あなたに戦う気がなくても私に戦う理由ができてしまったわ。」

 そう言って、右手の中にハンドアックスを作り出す。

「もう一度聞くわ……あなた、何しにここに来たの?」


竜胆:く……誤魔化しはこれ以上効かないと悟るな。

「ヘカトンケイルを……FHから脱走したという匿名の通報を受けて、“ヘカトンケイル”を“保護”しに来た。」


フランコイズ:(情報に齟齬があるわね……これは……あの性悪がまた何か仕込んだのかしら……?)


竜胆:「君がその気でもこっちはその気じゃない。悪いが相手をしている暇は無いんだ」と……流石に武器を出されたら身構えざるを得ないな。



 少女と青年、二人の鋭い視線が交錯する。相対する両者が身構え、張り詰めた緊張の糸が今にも切れそうになった……その時。

 ぐらりと、地面が揺れた。轟音と共に、脆くなっていた壁が崩れる。その大穴の向こうから……


「お前達が今日の相手か」


……2mを優に超える、鎧を纏った大男が現れた。



フランコイズ:「このレネゲイド濃度……尋常じゃない!! あの性悪、こんな奴の性能テストをやらせようなんて冗談じゃないわ! こんなの、私でも勝てるかどうか…!! “シュバルツォルム”、悪いけど、力を貸してちょうだい。聞いたところだと、あなたもこいつを殺しても、こいつに殺されても都合が悪いんでしょう?」


竜胆:……GM、一つ聞くんだが。


GM:うん?


竜胆:「今にも崩れそうだった」のはヘカトンケイルが出て来た壁だけか?


GM:……いや、フランコイズのワーディングの影響で全体的にヤバい。具体的には、ここで凄い衝撃が起きたら完全倒壊なんだろうなぁ……ってぐらいには。


竜胆:なるほど。では、共闘を持ちかけてくれたのも聞かずフランコイズに駆け寄り、躊躇いなく担ぎ上げる。


フランコイズ:「ちょっ!? 何? 何するの??」ちなみにお姫様抱っこ?


竜胆:もちろんお姫様だ。


GM:ちなみに、ヘカトンケイルの鎧は漆黒で染まっている。


竜胆:む、バロールか……? とりあえず抱き上げさせてくれるみたいだから、そこから速やかに離脱したい。エフェクトが必要なら斥力跳躍がある。


GM:では斥力跳躍分の侵蝕をあげれば離脱が出来る。


“ヘカトンケイル”(GM):「では諸君、よろしく殺しあおうか……む? 逃げるのか」


フランコイズ:「何してんのよ! あなたもあれに用があるんじゃないの!?」

 とはいいつつも、はじめてのお姫様抱っこに内心ちょっとときめいている。


竜胆:「悪いが、こんな不安定な場所で戦うほどスリルに飢えてる訳でも無いんでな。しかし君のワーディングの威力は桁外れだな、全く!」

 そして跳躍し、高いところにある窓から華麗に離脱。



 重力を操り、竜胆はフランコイズを抱えたまま数mを飛び上がる。

 彼が飛び上がった反動で、今まで保たれていた微妙な釣り合いが崩壊し……廃工場は、完全に崩れ落ちた。



竜胆:「やはり、危なかったな……」

 とりあえずそこからある程度距離を取りたい。大人しく抱かれててくれるならだが……。


フランコイズ:距離を取るまでは大人しく抱かれてるわよ。


GM:では竜胆は、連なっている廃工場や廃アパートの屋根の上を駆け抜けていった。“ヘカトンケイル”は完全に崩壊に巻き込まれた……筈だ。距離を取った所で、一旦シーンを閉じようか。



GM:それでは……忘れていたけどPC間ロイスだ!


フランコイズ:私は“シュバルツォルム”に好奇心/脅威で取得。お姫様抱っこという王子様的ムーブにちょっとときめいてる。好奇心が表よ。


竜胆:俺はポジティブが感服、ネガティブが脅威で脅威を表にしておこう。

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