第2話 ストリエについて

 ストリエは頭の中のイメージを形にしやすい。

 イラストが描けなくても、イラストレーター様が描いたイラストを、ストリエ内ならいくらでも使い放題になる。


 書き手としたら、夢のようなサイトだ。

 ただ、イラストを探すのはけっこう大変。


 でも、本当に愉しい。

 RPGツクールみたいな感じ。小説ツクールとでも言うのか?


 会話の羅列をしても、イラストがあるから誰が喋っているか一目瞭然。

 これが最大の強み。


 『~が笑った』がいらない。

 話すキャラクターのアイコンを笑っている物にすればいいだけだからだ。


 めちゃめちゃあるキャラクターアイコンの中から使いたいキャラを選ぶと、イラストレーター様にもよるけれどだいたい表情差分がある。

 そのキャラクターに表情を付けて、言わせたいことをフキダシで語らせる。


 そして背景もあり、ストーリーの場面に合うイラストを選ぶだけで、キャラクターの後ろに背景がつく。


 すごい。

 語彙力がなくても文章がヘタくそでも、読み手さんに伝わる小説になる。


 手間暇はかかるけど、かけただけ満足できる仕上がりになる。

 そんな、本当に夢のようなサイトだった。




◇◇◇




 ただ、ちょっと言わせてもらうと、手間暇がかかる。

 その手間暇を惜しまない人の作品を読みたい。


 文字だけを書いている時と、ストリエのようなチャットノベルのような作品を作っている時は書き方が変わる。


 他のサイトで人気があった作品をたまにストリエでみかけたけれど、もしくは本として出版されている公式の作品とか。


―― 手間暇かけてよ。

と、心の底から思った。


 手間暇かけてないのがバレバレで、急いで作った感がすごい。

 作ったというか、置いただけというか……。



 ストリエのすごいところは、イラストレーター様のイラストを、許可も取らずに使用できること。自分の想像を超えるイラストが、自分の作品として動いてくれる。そして出来上がった作品を読むと、自分で書いたのにキラキラピカピカ面白く見えてしまう。


 そんな魔法がかかるのだ。

 自分の作品に、いつもと同じ黙々とパソコンの前で作業をしているだけなのに、楽しく読める魔法がかかる。


 それなのに、公式がその利点を理解しているようには見えなかったこと。公式作品がもう少し……。中にはちゃんとした作品もあったけれど、1~2作程度、それが目に留まるように他を削った方がよかったんじゃないか?


 あくまでも私の意見だけれど。


 でも、公式の作品を読んで、投稿作品へという道筋が見えなかった。それはストリエに限らず、どのサイトもできなかった。


 ストリエもはじめの頃は、投稿した素人の作品でも、読んでもらえていた。間違えて来てしまった読者の目に留まりやすいところに面白い話があったから。でも、途中から、それがおもしろくない話になっていた。


 読んで損したと思う作品ばかり。

 しかも、そういう作品が賞を取ってばかり……。もちろん、面白い作品もあった。上手いなと思う作品もあった。でも、


 夢があると思っていた小説投稿サイトに、裏切られた気分になった。














 ならばと利用者に丸投げした感もあったけれど、そうしたにはすでに時遅しだった。







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