5.プロット<起>
ところで、皆さんに、おさらいとしてお訊ねします。
お話を作る上で、<起>とはどういったことをいうのでしょう?
わかってる! 当たり前だ! という方はこの講座はすっ飛ばしてください。
もう少し知りたいという方はどうぞご覧下さい。
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<起>は字のとおり、何かが起こることを指します。
お話に置いて、何かが起こるというのは、登場人物が登場したり、事件が起こったり、お話の中心をなす物事が起こったりすることを言います。
ですから必ず、何かを起こさねばならないのです。
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事件を起こすばかりではなく、人物から始めることもあります。
基本的な人物中心の物語では、人物のあり方や心情が<結>までに変化していくさまが描かれます。
よく言われるのが、「人物が成長する」物語です。
お話を読み終えた後、登場人物が「成長」「変化」しているのを見て、読者は満足するのです。
それが一般的にお話を書く上で求められるものです。斜め上を行く終わり方は初めて書くときは必要ではありません。
素直に、「なにもできなかった登場人物があることで成功する」とか「自分勝手で利己的な主人公が、改心して優しく慈悲深い人になる」とか「愚かで人に騙されてばかりだった主人公がかしこくいろんなことを知り、信じることとは何かを学ぶ」ような、お話を書いていいのです。大概ハッピーエンドですね。
そのお話に事件を織り交ぜることができればなお面白いお話になるでしょう。
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また、<起>で必要なことは、状況を読者に理解させることです。どんな状況であるか、会話や登場人物の紹介と織り交ぜながら書くことができれば一番です。
場所も、時間も、状況も何もわからないのに、誰かもわからない人物の独白や、舞台設定だけを延々書くことはやめたほうがいいのです。
学校、路地、廃村、町中、カフェ、山の中、海、家の中、様々な場所があります。そういった場所にどういう時期、何時(朝か昼か夜)にそこにいるかを教えねばなりません。
ある程度の情報によって、読者はこれから始まるお話の概要、頭の部分を理解することができます。
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それと重要なことで何度も書きますが、<起>で主要人物はほぼ出しておきましょう。少なくとも主人公は出しておかねばなりません。
主人公不在のまま、<承>に入ってはいけません。またほとんどすべてのキャラクターは、<承>までにすべて出し終えておくことが肝要です。
主人公が出てこないまま話が進んだりすると、誰に感情移入しないといけないのか、読者は混乱します。また、<転>に入って初めて登場人物を出すと、ますます読者は混乱しますし、以前説明したように、「ご都合主義」に陥ってしまいます。
<起>で、ほぼ全員主要人物は出し切るべきですし、そうでなくとも<章>の頭までには重要なわき役も出すべきです。
そうすることで、読者は誰に感情移入すればいいのかがわかりますし、主人公の存在を知ることができ、よりお話を理解することができます。
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いろんな方も書かれていますが、お話はドラマです。人生の一部分を切り取り、読者に見せるためのものです。
ドラマ=変化がないお話は、おおむねつまらないものであったり、内容が難しいものであったりします。
エンターテイメントを求める読者はドラマを求めます。
泣いたり、笑ったり、憤ったり、悲しんだり。感情の起伏が大きければ大きいほど、読者は感情移入して、面白いと感じます。
反対に、ドラマを必要としないお話もあります。純文学や実験小説のようなものは、ごくまれにストーリーを無視して展開します。別にそれは間違っていないのです。ある種の法則にのっとって描かれる内容(テーマ)が、読者に伝われば、または技術として成功していれば、何ら問題はないのです。
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大きくまとめると、
1.事を起こす。
2.状況説明する。
3.主人公を出す。
この3つですね。
一言で言い表すと、このお話が一体どういうジャンルでどういう方向性で書かれていくのか。ということを読者に知らせねばならない重要な部分になります。
もっと欲を言うと、このお話のテーマ性を端的に書くことができれば、一番理想的かもしれません。
盛り込むことは多いけれど、一番わかりやすく簡潔に書かねばならない部分でもあるので、初めての方は難しく感じると思いますし、初めてでない方にとっても非常に頭を悩ます部分でもあります。
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<起>で一番頭を悩ませるのは、書き始めです。
私は今も悩みます。どういうはじまり方が一番印象的か。読者を引き込むか、または興味を持たせることができるか、そういったことに悩んで、なかなか最初の部分が決まりません。
しかし、やってはいけないことだけはわかります。
※設定の説明から始めない
これだけは避けたほうが無難です。
上記で述べた、3つのまとめのどれかから始めるのが一番です。
そのどれかなら、セリフからでもいいし、だれがどこでどうしてるかという状況描写でもいいです。
書いていて、わくわくする部分から始めましょう。そのワクワクは必ず読者に伝わるはずです。
※追記
さて、作家の方がすごい面白いことを書いてました。それは、一番見せたいシーンを起にするという手法です。本当は転や結になるはずのエピソードから物語を始めるというのです。
一番書きたい場面を起承転結になぞらえてかけば簡単だけど、普通のお話になる。だからこそ、一番書きたい山場をお話の始まりにして、そこから新たな展開を考えて書くという。それってものすごく面白いことです。
作家の方もそうするとすごく苦しむけど必ず面白いものができると言ってました。わたしもそう思います。
わたしの場合は次回のお話しにつながるエピソードから始めるという、変な初め方をしたことがありますが、結果的にそのお話しがどんな方向性の話かわかりやすくなったので良かったと思っています。
わたしも上記の先生のように、単純にお話しを考えないで、一番面白い部分からお話しが始まってくるような書き方ができたらと思います。
絶対読者さんは、読んだら、おらワクワクするだってなると思いますもん。
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