3.プロット

今回は、より詳しい<プロット>の書き方、<転結>について説明します。


前回と同様に、例として書いた<あらすじ>を参照してみましょう。


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3-a.同行した脇役はなぜかドラゴンについて詳しい。

3-b.ドラゴンの谷で生まれ育ったからだと、主人公に脇役は説明する。

3-c.敵から脇役がドラゴンを呼ぶ鍵だと言い残し、脇役を連れ去られてしまう。

3-d.脇役を見捨てられないのと、ドラゴンを呼ぶ鍵という理由を知るために、主人公は脇役を連れ去った敵を追う。


4-a.主人公の前に始め主人公と取引をした人物が現れる。

4-b.ドラゴンを手に入れるために使うか、脇役を救うために使うか、一度しか力は使えないと告げる。

4-c.脇役を救うために力を使ったため、主人公は魂を引き渡さねばならなくなる。

4-d.実は脇役がドラゴンであり、取引した人物はドラゴンの守護者だったため、血以外に妹を救う有効な方法を授けられる。


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3が<転>の部分になります。これをより詳しくプロットに形成してみます。


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3-a.同行した脇役はなぜかドラゴンについて詳しい。

3-b.ドラゴンの谷で生まれ育ったからだと、主人公に脇役は説明する。

3-c.敵から脇役がドラゴンを呼ぶ鍵だと言い残し、脇役を連れ去られてしまう。

3-d.脇役を見捨てられないのと、ドラゴンを呼ぶ鍵という理由を知るために、主人公は脇役を連れ去った敵を追う。


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3-a.同行した脇役はなぜかドラゴンについて詳しい。

 (1)共に旅をするようになると、脇役の良さに気が付いていく。

 (2)主人公も打ち解け妹の話をする。

 (3)脇役がそれを聞き、ドラゴンの血を入手するなんて無理だという。

 (4)理由を聞くと、ドラゴンそのものが変幻自在で、もはや伝説のようなものだからだという。

3-b.ドラゴンの谷で生まれ育ったからだと、主人公に脇役は説明する。

 (1)なぜそんなことを言うんだと主人公は怒る。

 (2)脇役には言いたくないわけがあるらしい。どうも出生に理由があるようだ。

 (3)そのわけを話さないなら、たびに同行する必要もないし、信頼もできないと、主人公は言い放つ。

 (4)脇役は観念し、自分がドラゴンの谷に住む住人なのだと告白する。

3-c.敵から脇役がドラゴンを呼ぶ鍵だと言い残し、脇役を連れ去られてしまう。

 (1)ドラゴンの谷の存在を知り、主人公は喜ぶ。しかし、脇役は悲しそう。

 (2)自分はドラゴンの存在を護る役目がある。という。

 (3)その矢先、脇役を襲った敵が再び現れる。

 (4)脇役を狙うのはそのドラゴンを呼ぶためのカギをこの脇役が握っているからだといい、連れ去ってしまう。

3-d.脇役を見捨てられないのと、ドラゴンを呼ぶ鍵という理由を知るために、主人公は脇役を連れ去った敵を追う。

 (1)主人公はできる限り脇役を追うが追いつけず、いったんあきらめかける。

 (2)しかし、脇役がドラゴンを呼ぶ鍵ならば、ドラゴンを見つける手助けになるに違いない。

 (3)脇役がドラゴンの谷を隠したがっている気持ちを考える。少し躊躇。

 (4)主人公はためらう自分をごまかし、脇役を助け、ドラゴンの血を得るために、敵を追うことを決意。


例のごとく、<結>は割愛します。


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こればかりは、概念を説明するしかありません。


概念の手助けとしては以前ご紹介した、すぐびんさんのブログのhttp://sugubin.com/2008/02/29/1834「パーフェクトなシーンを書く3×3の法則」、もしくはhttp://sugubin.com/2010/04/08/2035「あなたの小説でよりよいシーン(場面)を書くための21の問いかけ」を参考にしてもいいかと思います。


または、ライトノベル作法研究所の「プロットを作ってみよう」を、参考になさっても構いません。


私よりもより詳しく概念を知ることができるはずです。


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ここまで<プロット>を膨らませることができたら、設定を盛り込みながら、お話を書く準備をします。


始めは時系列順でいいかと思います。初めて書く場合、過去からとか未来から書くと、お話がぐだぐだになったり、読者が混乱したりします。(要するに、現在の話なのか、過去の話なのか、未来の話なのか、書き分けができない場合がある)


まだ筆力もなく、書きなれてない場合は、素直な時系列を選んだほうがよいでしょう。


ただし、書きなれてきて、自分でお話の<構成>をすべてうまく把握できている場合は、時系列でなくても十分に読者に伝えることができます。入り組んだ設定や<構成>も扱えるかもしれません。


ミステリーなどはわざと読者にミスリードさせるために、時系列のトリックを使う場合があります。


SFでは(サイバーパンクなど)時系列を交互に持ってくることで、疾走感を生み出し、何とも言えない読後感を与えることもあります。


でも、初めてお話を書くときは、そんなことをすると大失敗しかねません。あくまで順当にお話を書いていきましょう。


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では、次回は<プロット>を<草稿>に起こすやり方について説明します。


ちなみにここでは<プロット>と<草稿>は同じものとして説明していきます。細かくいうと全く違うので、そのことも説明します。

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