6.お話を書く(文章表現)

 さてさて。


 前回、比喩表現について説明しました。


 してはいけない。


 と言われると、絶対やっちゃダメ。と思われた方もいるようです。


 ごめんなさい。なるべく避けたほうがいい。といったほうがいいのかもしれないです。


 プロの方でしている人がいる! 漫画のノベライズでやってる方がいた! ということも聞きました。


 でも、基本を身に着けてない方が、なるべくしないほうがいい表現方法を普通に使うようになると、実は反対に文章が下手になるのです。


 それ以外の表現方法が身につかなくなり、あるはずの能力がそこで止まってしまうかもしれません。


 プロは、基本を勉強し、表現方法を色々と試したことがあり、自分のスタイルや商業誌でOKをもらえるだけの実力をすでに持っています。


 そのレベルに達している人が使うのと、基本を身に着けてない実力のないアマチュアが使うのとでは、完成度が違うのです。


 先に楽な方法を覚えてしまうと、根気のいる勉強などが面倒臭くなり、自分の文章力を向上させることができなくなってしまう可能性があります。


 うるさいことかもしれませんが、遠回りになったとしても、基本的なことをしっかり身につけましょう。


 文章作法をしっかり覚えたうえで、文章を崩すことは案外簡単で意外に面白いことです。


 日本語という語学を使っていろいろな冒険を楽しめるのは、日本語を知っているからです。


 文章を書くのがうまくなりたい人は、まず、日本語を知り、日本語に親しみましょう。


 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


 私が、よく、文章が上手になりたい人に勧めるのは、現代語に近い、近代文学です。


 夏目漱石などの明治時代の文学になると、日本語がしかつめらしいんですよね^^;


 読みやすく、また面白いものは昭和の戦前戦後のものが多いです。


 戦後のものは旧漢字(旧かな)から現代のものに変わってきているので、さらに読みやすいです。


 別にお勧めというわけではないですが、気楽に読みたい場合は、江戸川乱歩がエンターテイメント性も強く、かつ文章もきれいです。


 純文学で言えば、三島由紀夫や少し古いところで言うと太宰治でしょう。


 児童文学で非常に有名なのは宮沢賢治です。比喩の使い方は完璧と言えるかもしれないです。


 個人的におすすめなのは、安部公房。SFとファンタジーの混じったような実験的な純文学を書き続けていました。こういう純文学もあるのだなと思って読んでみると、純文学の見方が変わるかもしれません。


 遠藤周作、北杜夫。このあたりから現代になっていきます。


 皆様もよくご存じの村上春樹やよしもとばなな、山田詠美、島田雅彦辺りもいいと思います。


 私は笙野頼子が大好きです。おそらく安部公房の流れだと思います^^;


 まずは食わず嫌いせず、純文学を読み漁ってみてください。意外に自分の感性によく合う作家もいるかもしれないですよ^^


 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


 綺麗な文章を読んで、しかも書き写したり真似することは、身に着けるための練習にもなります。


 こんな表現方法もあるのだという、新鮮な発見もあります。


 ぜひ、書くだけでなく、必要な情報を身に着けるためのインプットも行ってください。


 ※追記

 現在、非常に読みやすくくせのない文章を書かれている文芸作家さんは多いです。

 なぜ、読みやすくくせのない方がいいかというと、癖というものは移ってしまうものなんですね。癖の強い先生の文章を真似すると悪癖になりかねません。なぜなら、その癖はその先生の作風にあっているからこその癖であって、その先生のコピーになってしまってはいけないからです。自分の良さは一生でないかもしれないです。


 それから雑知識ですけど、「!」「?」は結構最近(戦後)になってからの表現方法です。「!?」はもっと後から出てきました。

 割に若い表現方法なんですよね。記憶違いだったらすみません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る