第5話

居酒屋に入った私達。


「オレビールね。 何飲む?」


「私カクテルかな? 甘いやつ」



お酒と少しのつまみを注文した。



「外で飲むの久しぶりだな。 何か嬉しい」


「仕事の付き合いとかで飲まないの?」


「基本はね。 子供いるし、 定時上がり」



お酒が運ばれてきて、まずはカンパイ。


「何にカンパイ? 二十年振りに?」


「中野先生に……」


「何だそれ。 まぁいいか。 んじゃカンパイ」


一口カクテルを飲んだ。


「やっぱり美味しいね。 家飲みとは違う」


「外で飲むのもたまにはいんじゃない?」


「まさか葉野君と飲むなんて思わなかったよ……」


「オレも。 まずあんまり話した事なかったよね」


「遠い存在でしたから。 声もかけられなかったよ」


運ばれた唐揚げを口にした。


「同窓会いつだっけ? 幹事誰?」


「えーと……。 来週かなぁ。 幹事は意外な人だよ。 ハガキ見なかったの?」


「見たけど忘れた」


「案外いい加減なんだね……」


「オレはいつでも真面目です」



ビールを飲みながらそう言った。


真面目だっけ?いつもふざけてたイメージがあるからな。


「それより奥さんいいの? せっかくの休みなのに。 家族孝行しないとダメなんじゃないの?」


「うーん。 確かにそうだけど。 たまには息抜き? 家族は大事だけどね。 たまには同級生に付き合いますよ」


「誘ったのそっちでしょ?」



やはり真面目ではないぞ?いい加減でもないのかな。


でも何だか嬉しいな。再会した事、こうしてお酒をの飲める事。


同級生。単なる昔の同級生だけどね。



「仕事は大変? 子供育てながら仕事してるんでしょ?」


「まあね。 旦那からはあんまり貰えないし、 それなりの仕事しなきゃ、 たべられません」


「再婚しないの? 出会いとかあるんじゃない?」


「皆言うけど、 もうやだよ。 一度失敗するとね、 嫌になるんだ。 男の人はこりごりです」


「オレでも……?」


「何言ってるの? あり得ないし」


「家族は大切だよ? でも最近上手くいかなくてさ。 喧嘩ばっかり。 合わないのかなぁ。 何て思ったり……」


「深刻だね……。 でもさ、 上手くいかない時は誰とも上手くいかないよ。 私がそうだしね」


「同級生なら大丈夫かもよ?」



枝豆を食べていた手が止まった。


本気?冗談だよね……。



「あり得ないから……」


「オレ振られた?」



全く何処まで……。


半ば呆れながらカクテルを飲んだ。


たちの悪い酔っ払いか。



「不倫は嫌よ。 ドロドロとか面倒でしょ」


「はっきりさせるよ」


「本気なの……?」



何も言わずビールを飲む葉野君。


何と無く、居ずらいなぁ。



「本気で付き合う?」



完全に頭が混乱した。久しぶりの同級生の突然の言葉。


ウソだよね……。




私はただの酔っ払いの戯言として聞いた。

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