想いたゆたう物語

 これは「誰かに校閲・しっかりとした(略」用の辛口レビュとなります。

 本作は水面下にある見えない波が、そこはかとない優しさや慈しみを運んでくる。そんな雰囲気のある小説です。

 難点を2つだけ。

 1つ目はこの短い物語の中で1人称と3人称が混在していること。また時系列を入れ子にして物語を複雑化させていることです。
 やりたいことは判ります。意欲も溢れている。
 ただ物語の文字数が短いので、人称を替えたり時系列を入れ替えたりするよりも、ストレートでガツンと殴る物語にした方が強く効きます。

 2つ目は、3人称(プロローグ)が1人称と比べて少々拙いところです。1人称が上手ですので、少々目立ってしまいました。
 日常風景を写したと思えば、公園の説明に入り、そのままカメラが戻っていく。女性が娘を下ろすと謎の女の子2人の情報が入り、女性の顔がアップになり思い出が流れてくる。
 じっくり読むとそれとなく見えてきますが、じっくり読まないと見えてこないのはこの「短い文章なのにカメラが激しく移動する」こと、そして名詞が「子ども→娘」と変化するのが原因ではないかと推測します。
 カメラが激しく移動すると読者はどこを見て良いかが判らなくなるため、なににピントが当っているかがはっきりするまで、腰を据えてじっくり描いてみてください。
 また名詞は固定させましょう。(変えた理由は推測できますが、固定が良いです)

 以上、辛口となってしまい申し訳ありません。
 これからも頑張ってください!