第10話 当事者、冒険者の本気を知る!



「ガチでさっきのアレは反則やろ……」



 ダラムから貰った煙玉を地面に投げつけ、たちまち周囲は煙幕に覆われた。


 足元に巨大な魔法陣が現れた時には、どうなることかと思ったが何とか難を乗り越えれた。



「でも。流石、高いだけあるな〜」



 私は、先程の魔法攻撃を退けた、盾をまじまじと眺めながら呟いた。


 これは防具屋で買った品で、魔法耐性が高い魔具マジックアイテムらしく結構な値段だったのだ。


 使うことは無いだろうと思っていたが、意外と役に立った。


 もしもあの攻撃が直撃していたと考えたら、……一瞬身震いがした。



「さて、どーしょっかなー」



 盾をアイテムボックスに収納しながら、この次をどうしようかと考える。


 この煙幕が消えれば冒険者共ヤツらは再び連続攻撃を仕掛けて来るだろう。


 パターンは読めて来たが、余りにも攻撃速度、威力、精度が高いので反撃する暇がない。



「あッ、アレ使おーッ♪」



 思いついた物は、借りパクッて来たは良いが使い道に困っていた代物だった。


 街中で使用するには、建物を壊しそうで少々遠慮していたのだ。


 しかし、今はその心配も最早無用。


 私は鼻歌混じりに、大砲それをいそいそと設置し始めた。




 ***




 ズドォォオオーーーンッ!!!



 爆音と共に砲弾が発射された。



「おぉーーーッ!」



 耳を塞いでいても身体に伝わる衝撃に私は歓喜を上げた。


 この心地良さは、癖になりそうだ。



「作戦成功やな」



 煙幕が消え、私は周囲の状況を確認した。


 大砲5門による一斉砲撃は、やはり歩兵である彼らには有効手段だったようだ。


 回避により一時的に連携は崩れ、中には被弾した者も見受けられる。



「反撃開始ッ♪」



 私はすぐさま金属バットを取り出して、掃討戦に移行しようと走り出した。



「ん?」



 しかし、なぜが足が重く一歩が踏み出せない。


 疑問に思い、足元に視線を送ると女剣士つりめが左足に抱きついていた。



「うっとーしいねんッ」



 私は、金属バットを振り上げ、女剣士つりめを薙ぎ払おうとした。



「なッ!」



 その瞬間、右腕に何かが取り付いた。



「そうはさせぬ」



 視線を送ると侍のおっちゃんが頭か血を流しながら、私の腕にしがみ付いていた。



「何やってんねんッ! はよ離せッ!」



 私は二人を振り解こうと、必死にがく。


 しかし、彼らは必死にしがみつき離さない。



『エリーゼ達に続けぇーーッ!』



 その掛け声と共に、未だ動ける冒険者共が私の身体に取り付き始めた。



「あんたら何考えてるねんッ」


「こっちも必死なんだよ」



 大剣のおっちゃんも剣を捨て、私の左腕をガッチリと固めている。


 最終的には、私の腕、脚、腰に合わせて7人の冒険者が取り付いていた。



 …………ッ!



 いつの間にか足元が輝き始めている。



「おいおいおい。マジか、マジで言ってんか!?」



 地面に浮かび上がっていたのは、巨大な魔法陣。


 彼らは、味方もろとも私を葬り去るつもりらしい。



「嫌や、嫌やッ! あんたら頭おかしいやろッ!」


「大砲使ってくる、あんたの方がよっぽど頭がおかしいわ」



 私は必死にがき、少しでも魔法陣の外に逃げようとあらがい続ける。



「さて。一緒に地獄まで行って貰おうか、カオル君」



 サンディスイケメンが爽やかな笑顔でそう述べると、魔法使いウィザードの声が辺りに響き渡る。



『メテオォ・フレイムゥゥゥウウウーーッ!』



 私たちの頭上には、巨大な隕石の様な火の玉が現れ、高速で落下してきた。



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【アイテム紹介】


【龍殺しの大盾】

 龍殺しの騎士が使用していたとされる大盾。

 伝承によればドラゴンのブレスを防いだとされている。


 魔法耐性が高く、対魔法用の魔具マジックアイテムとして使用されることが多い。

 勿論、物理耐性も高く、通常の盾としても使用できる。



【大砲】

 王国軍に配備されている代物。

 建造物及び敵を破壊、殺戮する為の兵器である。

 威力は、城壁に穴を開けたり、一軒家程度なら破壊することが可能。

 

 カオルは正規王国警備衛兵の駐屯地に忍び込み拝借してきた模様。


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