第2話 当事者、蚊帳の外に…



「どういう事ですかッ!?」



 ハナは僕に対して怒りにも似た感情をつけている。


 無理もない、僕たちが討伐しようとしているのは魔物モンスターではなく人間ヒトなのだから。



「どうもこうもない。『あの子』が今回の討伐対象、それだけだ」


「そりゃーどういう事だ?」



 ハナの他にも納得していないメンバーもいるようで、ダルベルトさんは頭を掻きながら僕の方へやって来た。


 今回、僕ら討伐隊にせられた任務は、オーガの討伐又は捕獲だ。


 しかし、蓋を開けてみれば討伐対象は生身のヒトだった。



『おーい。何か揉めてるみたいやけど、大丈夫かー?』



 広場の中央で手持ち無沙汰にしている討伐対象を横目に、僕はみんなに今回の経緯を話した。


 そう、今回の討伐対象のオーガ事、カオル=アサヒナについて……。




 ***




 雪解けの時期に突如現れた彼女は、街中の粗暴者達を次々と倒していつの間にか彼等の長のような存在になっていた。


 そして彼女の存在が公になったのが、『ルクア傭兵団の壊滅騒動』である。この騒動で彼女はこの街一番の傭兵団をたった一人で壊滅させたと言われている。


 勿論、そんな彼女を傭兵ギルドと冒険者ギルドが放って置く筈もなく、双方から熱烈な勧誘を受けるが彼女はこれを拒否。


 程なくして、バーウィッチ中央議会で彼女が重要危険人物に指定され、懸賞金がかけられる事になった。


 そして先日のヴィエンヌ商会の魔物モンスター騒ぎ……



「おい。まさか『アレ』をあの嬢ちゃんがやったってのか!?」



 話を聞いていたダルベルトさんは驚愕の表情を見せている。


 無理もない、ヴィエンヌ商会の騒動はどう考えても人間の所業ではなかった。


 商館そのものが破壊され倒壊していたのだから……。



『ん? 準備できたんか?』



 全員が恐る恐る彼女に視線を送ると、エールジョッキ片手に一人で宴を始めていた。


 周りには、どこから持ってきたのか、エール樽や出来立ての料理が並べられている。



「ねぇ、リーダー。何かの間違いじゃないの?」


「うむ。拙者もそう思うぞ。あの者からは殺気が一切感じられん」



 エリーゼが呆れた様子で彼女を指差すと、タイラーさんも首を縦に振り頷いていた。



「アレがオーガ……、れはオーガ、……オーガッ!」



 混乱したハナがいつの間にか弓を取り出し、彼女を射抜こうをしていた。



「ハナッ! 待ってッ!」



 気が付いた時には遅かった。


 矢はハナの手を離れ、ジョッキを傾ける彼女目掛けて放たれていた。



 …………ッ!



 誰もが彼女の死を予感した。



『危ないやんけッ! 始めるんやったら早よ言えよッ!』



 しかし、彼女は生きていた。


 ハナが放った矢は、彼女の手の中に握られて。



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【ステータス情報】


 【名 前】 カオル=アサヒナ

 【年 齢】 17

 【職 業】 異世界から来たチンピラ

 【レベル】 17

 【状 態】 通常

 【体 力】 319

 【魔 力】 242 

 【攻撃力】 252 

 【防御力】 184

 【俊敏性】 223


 【スキル】

 空手 Lv.Max 集団統制 Lv.4 料理 Lv.1

 アイテムボックス 鑑定 Lv.2 異世界会話 Lv.1

 剣術 Lv.6 双剣術 Lv.3 投擲術 Lv.3

 底力 Lv.2 狂人化 Lv.2


 New!

 挑発 Lv.1 窃盗術 Lv.2 受け流す Lv.1


 【ユニークスキル】

 天才肌じゃじゃ馬 非魔法適正ちからづく


 【装備】

 護身用の短剣ショートソード

 レイザーガントレット


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