第5話 お調子者、凄い発見をする。



 ギルドを静寂が支配していた。



「なあなあ、アレなんなん?」



 怯える少女の肩を掴み、私はギルド内に設置された掲示板のようなもを指差す。



「え? あ、ああれは、掲示板です。傭兵の依頼や団員の募集などの附票を貼る所です」



 肩を掴まれた瞬間、驚いていた彼女モニカだったが、説明をしている内に正気を取り戻した様だ。



「それって、誰でも見れるん?」


「はい。ご覧になりますか?」



 モニカ三つ編みは掲示板の前まで私たちを案内した。



 【新規団員募集!】一ヶ月、銀貨16枚 ヒルド傭兵団



 掲示板に書かれた、団員募集の附票を眺めながら尋ねた。



「これって、傭兵じゃないとアカンの?」


「いいえ、こちらは傭兵でない方でも募集されてますよ」



 その話を聞いた瞬間、私は子分たちへ視線を移した。



「おい、ダラム。誰でも傭兵になれるみたいやで」


「はい、姐さん。そーみたいっすね」



 ダラムは幾つかある附票を眺めながら、返事をした。



「おいおいおい、ちょっと待って。姐さんたち、もしかしてギルドの事を知らなかったのかよ!?」



 私たちの話にジョゼは慌てた様子で入ってきた。


 ジョゼの質問に私たちは首を縦に振って頷く。



「ぇえ!? じじゃあ、姐さんたちは今までどうやって金を稼いできたんだ?」



 ジョゼの質問に私、ダラム、ヤヌックは順番に答えた。



「負かした奴から貰う」


「家の手伝いと近所の人のお使い」


「お小遣いがある」



 その返答を聞き、ジョゼは頭を抱えた。……その反応は少し失礼ではないだろうか?



「じゃあ、ジョゼは何してんね「あれ? ジョゼさんですか? こんな時間に珍しいですねー」」



 私がジョゼに質問すると、その名前を聞いたモニカ三つ編みがジョセに話しかけた。



「ああ、モニカ。今日は姐さんに付いて来た「あ? ジョセ、三つ編みコイツと知り合いなん?」」



 私がモニカ三つ編みを指差して尋ねると、ジョゼは頷いた。


 その状況にモニカ三つ編みは少々混乱したらしく、黙り込んでしまった。



「俺、傭兵ギルドここで日雇いの仕事してるんですよ」


 私と他の二人ダラムとヤヌックはジョゼの仕事が傭兵という事に驚いた。



「なっ!」


「「えーーッ」」



 どうやら、放浪者(ながれもの)を長い間やっていたジョゼは、金払いがいい傭兵を生業としていたらしい。


 寧ろ、私やダラムが傭兵として仕事をしていなかった事にジョゼは驚いていたようだ。



「結構、割はいいと思うぜ」


「大体どれくらいだ」



 ジョゼの話にダラムが食いついている。



「大体これくらい」



 ジョゼが指を何本か立ててダラムに見せた。



「マジか! 俺は明日から傭兵になるぞ」



 どうやら今までの仕事よりも割がいいのだろう。


 ダラムは鼻息を荒くして叫んでいる。



「あ、それやったら。暇してる子分どもれんちゅうも一緒に傭兵やったら?」



 そういえば、酒場で朝から何をするでもなく、居座っている連中は結構いる。


 以前、店に来た傭兵に頼んだ時は話が流れてしまったが、ギルドここに来れば仕事はあるのだ。


 私は一人で納得し、顔を上げた。



「そや、それがええわ! ダラム、ジョゼ。残りの連中も暇そうやったら誘ったてくれ!」


「「はいッ!」」


「あのー、姐さん。俺は……?」



 仲間外れにされたヤヌックが申し訳なさそうに尋ねてきた。



「知るかッ。お前は親のスネでもかじっとけ」



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【各業種の平均月収】


【傭兵】

 銀貨15枚


【家事手伝い】

 銀貨10枚



※カオルの月収ファイトマネー 金貨4枚


※ヤヌックのお小遣い 金貨2枚/月


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