第4話 就活生、キレる。



「かおるちゃんってバカだよねー」


「お前アホちゃうの?」


「バカに馬鹿って言って何があかんねん」


「どのツラ下げて来とんや、アホか?」


「体力バカにはお似合いじゃん」


「アホがアホの顔して来よったで」



 …………ッ!



 どいつもこいつもどいつもこいつもどいつもこいつも。


 アホバカアホバカアホって言いよってッ!



ウチはそんなアホちゃうわぁーーーッ!」



 私は我を忘れて叫んだ。


 すると就活用にポニーテールに括った髪がサラサラと解けて、逆立っていく。


 長い黒髪の間からは赤色のメッシュが垣間見える。



「あ? なんだ? やるってのか。女だからって手加げ……」



 |お兄さん(ヤロウ)が構えをとった、瞬間私は間髪入れず踏み込み、左顎に突きを入れる。


 寸止めなんて生ぬるい事はしない。


 そして、突きが顎にクリーンヒットしたヤロウは膝から崩れ落ちた。



「あ、兄貴!?」



 取り巻きの男性アホは一瞬の出来事に何が起こったか理解できず、判断が遅れたようだ。


 そして、数秒遅れて私が|倒した(ヤッタ)事を理解して逆上した。



「調子にの……」



 男性アホが私に敵意を向けた瞬間、私は回し蹴りを繰り出した。


 これもまた顔面にクリーンヒットし、アホもまた昏倒する。



「もう少し骨があると思ったんやけどなー」



 私は独り言のように呟き、倒れた二人に目をやる。


 死んではいないな。


 多少手加減もしたし、脳震盪を起こしているのだろう。


 まあ数分もすれば起き上がれるか。



「ったく。無駄にきぃ使ったやんけ。面接ちゃうんやったら、最初から言えやボケ」



 私は解けた髪を纏めながら、誰に聞かせるでもない愚痴をひたすら呟いていた。



 グゥーー〜〜ッ。



 突然、地響きのような音が路地裏に響いた。



「ちょっと運動したら、腹減ったな。よしッ取り敢えず飯でも食うか」



 『腹が減っては戦は出来ぬ』、先人の教えはちゃんと理にかなっているのだ。


 私は振り返り、路地裏を後にした。



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【今回の撃破した敵】


チンピラ(中) Lv.3

チンピラ(小) Lv.1


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