1-16:マモリE

あの事件から数日後、マモリは公園でぼんやりとしていた。

「ほげー、明日からまた学校かあ……」

悩んでもどうしようもないのだが、それでも悩んでしまうものなのだ。


そんなマモリに話しかける人の姿があった。

「やあ、この前はどうも」

「あ、あの時の住所教えてくれた人!この前はどうもありがとうございました」


「いや、いいんだよ。こちらも困っていたところだったからね」

「……なんのことだ」

男のまとう雰囲気が変わった。魔法の力を感じる。それも、黒魔法の力を。


「テメー、アタシたちをはめやがったのか?」

マモリはポケットに手を突っ込み、ビー玉を握りしめる。

「いやいや、それはちょっと違うな。ただ利害が一致しただけだよ」


「利害の一致だ?」

「そう。君たちはリッカを助けたかった。そしてこちらも、リッカを助けてほしかった。と、そういうことさ」

「どういうことだよ?」


「いずれわかるさ。それに、今日ここに来たのだって、なにもただ正体を見せびらかしに来たわけじゃない。一つ教えておきたいことがあってね」

「なんだよ?」

リッカは警戒を解かない。何かあればいつでも魔力キックをぶちかますつもりだ。


「"漂白者ブリーチャー"がリッカを狙っている。守れるのは、君たちだけだ」

「"漂白者ブリーチャー"だと……そんなまさか……」

マモリが驚いていた僅かな隙に、男は姿を消していた。

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