第26話

【新まさお誕生】



まさおのメンタルは、女の子を丸のみにしてから、いや、そのだいぶ前からおかしかった。



そのことを見抜いたジジイは、まさおを呼び、前に座らせた。




そして、目をつぶらせた。




「いいと言うまで目をつぶってるんやで。俺が、よし!って言ったらあけるんやで」




「は、はい」



素直に従うまさお。




「よし!」




合図のその時は来た!





まさおが目を開けた瞬間のその映像が、まさおがこの世で見る最後のものとなった。




変な刃物を持ってるジジイの姿だった。





まさおは、両目をつぶされたのだ。






「いいか、お前に電話の声に集中して、敏感になってもらうために、退路を断つという覚悟を持ってもらうために、やったことや」



ジジイの話は明確だった。



目が見えない人は、音の感覚が鋭敏になると言う。そして、それにより、わずかな空気感の違いなどで、まるで見えているかのように、スタスタと建物の中を歩く人もいるのだ。



まさおは、これから、クライエントの声のわずかなトーンの違いをとらえ、心を見抜く、名カウンセラーになるだろう。


そして、名カウンセラーを経て、営業電話の達人となるのだ!

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