第7話

【ジジイの見本】



さて、読者諸君、まさおは、どこがいけなかったのかな?


また、読者のみなさんなら、どうやって、このダッチワイフを売るだろうか?



必ず、自分で考えてみてから、ジジイの見本を読んでみてほしい。




それでは、ジジイの見本である。


「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田です。お忙しいところ申し訳ございません」



↑社名はエヌチッチコーポレーションだが、あえて曖昧にエヌチーチーコーポレーションと言うことによって、相手がNTTと勘違いすることを狙う作戦(^_^)




「はい?NTT?NTTが何か?」




↑カモネギおつ(^_^)


「わたくしどもは、国の少子化対策の一貫としてですね、活動しておりまして。お客様、日本の将来について、ご不安ありませんか?」



↑ない人などいない。小さなイエスを積み重ねる作戦(^_^)



「そりゃあ、ありますよね。消えた年金問題もほったらかしのまんまやしねえ」

「そうですよね。日本は、ノルウェーやスウェーデンなどの北欧の国に比べて性教育も遅れていますしねえ。お客様もご存知の通り」




↑ご存知の通りと言われて、知らないと言える人はいない(^_^)





「う、うん。そうやねえ」



「で、日本も遅れながらではありますが、ご存知の通り、ダッチワイフィーなマトリョーシカを色んな家庭にお届けして、性に関する意識を高めていってる最中なんです」




↑ダッチワイフィーという言葉を使うことによって、“俺が使うのは、ダッチワイフではないんだ”という逃げ口を与えてあげる(^_^)



「それはそれはご苦労様です」

「で、我々NHKとしましては、少子化対策に力を入れたいのです!うっ!うっ!すいません。泣くつもりじゃなかったんですけど」




↑いつの間にかNHKと名乗る。NHKもNTTも響きが似てるから、まずバレない。エレベーターとエスカレーターみたいなもん(^_^)



「そんな、泣かないでくださいよ。わたしまで泣けてきますから」



↑アホ(^_^)




「というわけで、このダッチワイフィーなマトリョーシカを80万円のところ、15万円でお売りしたいと思います。“逆に、断るやつのほうがエロい”をスローガンに、わたしたちと、闘いませんか?」



↑“わたしたち”という言葉で連帯感を持たせる(^_^)


↑断るやつのほうがエロいという言葉で、エロくないなら、ダッチワイフ使えというプレッシャーをかける(^_^)




「は?ダッチワイフを15万円で買わせるだけの話やないか!」




↑たまたま客がアホやったパターン(≧∇≦)




「ダッチワイフィーとダッチワイフの違いがわからないお客様は、10年寿命が短いというデータも出ております。ご存知の通り」



↑ご存知の通り、で巻き返しを狙う(^_^)




「切るぞ、もう!死ね!」





↑アホ。親もアホ。




電話を切られてしまったジジイは、まさおを振り返り、こう言った。




「ダッチワイフィーって言葉を使ったせいで、こうなってしもたわ」





まさおは思った。





俺のせいだ、と。

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