闇の中へ

探偵は、気がつくと、ある部屋のソファーに座っていた

側には、小さなテーブルに、蓄音器(古いラジオや、レコードに対するCDプレーヤーのようなモノ)が置かれている

そこから、調子外れな男の声が響く

「お久しぶりだな」

『ああ、もう

探偵は、ウンザリした顔をする

「しかし、時が来たのだ

ヤツが、いよいよ力を増している」

『それが、僕とどういう関係があるんだ』

「言っただろう?

時が来たのだ」

次の瞬間、目の前に、女があらわれる

探偵は、その女を見たことがあった

運命ファムファタール

彼女は、探偵にむかって、こうささやく

「彼から伝言よ

って

ほんとう妬けるわね」

と、また次の瞬間、彼女はかき消えた

蓄音器から、また声がする

「帰るがいい

この部屋から、

『ああわかってるよ

使




『…おい』

気がつくと、探偵は自分の家に戻っていて、目の前には、エプロン姿で、

手にフライパンをもった、少年あいぼうがいた

『なに、急に出たり、消えたりしてるんだよ

手品師マジシャンかよ、あんた』

『ああ、すまない、

探偵は話をそらすように

『それにしても、人が急にいなくなっても、あんまり驚かないよね、君』

と、言った

『ああ、

と、少年は、ウンザリしたように、そう返した

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