忍者時代9

もう私はこの時気付いていたのかもしれないこの世界、この時代、そして今の私では朔夜兄さんと幸せになることができないことに・・・。

「ねぇ、朔夜兄さん襲撃がこの前から増えて るから今日から私が兄さんの部屋で寝ずの 番するね」

「まぁある程度の時間には雪も寝ろ。これは お願いじゃなくて命令だ。分かったな?」

「分かったよ兄さん。それじゃあ風呂行って くるね」

「あぁ俺も風呂行ってくる」

俺は雪を一人、部屋で待っているのは何だか恥ずかしくて本日二度目の風呂に行くことにした。

「あぁいい湯だ。雪の風呂上がりはとんでも なくいい匂いがするからな。いろいろ我慢 してくれ俺!」

「朔坊もついに色気付いたか。年をとるのは 早いな」

「い、いつの間に!?いたんなら声かけてく れよ恥ずかしいだろ」

「若い人間の話しはこっそり聞くのが一番な んだよ」

「何だよそれ。龍さんはやっぱり理解できな

 いな」

「ところで朔坊気を付けろよ。雪はじゃじゃ 馬だぜ」

「う、うるさい龍さん!!もう俺あがるから な。龍さんものぼせないようにな」

俺は逃げるように風呂を出た。

「変に意識したりしたらどうするんだよ龍さ んの馬鹿野郎!」

俺は熱を冷ますように中庭をゆっくり歩いて帰った。

「雪、入るぞ」

「兄さん珍しく長風呂だったね」

「まぁ、いろいろあってな。おやすみ雪」

「おやすみなさい兄さん」

そして俺は余計なことをしないように早々と眠りについた。

「兄さんじゃあちょっと一仕事してくるね」

私は朔夜兄さんにそっと口づけて部屋を出ようとした。だがいきなり手を朔夜兄さんに掴まれた。

「に、兄さん起きてたの?ごめんね。冗談だ から気にしないで」

「本当のこと言ってくれ。俺は雪のこと好き だから」

「えっ、でも私はこれから周りを囲んでる敵 の排除を行い兄さん達を逃がすっていう任 務をするの・・・。だから今は兄さんの気 持ちに答えることが出来ないよ」

「じゃあ雪も一緒に逃げろ。これは俺からの 命令だ」

「でも」

「雪の主は俺だ」

「龍さんに相談してみるね」

そう言うと障子がいきなりあいて龍さんが入ってきた。

「別にいいが大分激しい戦いになるぞ」

「了解です。龍さん達は近道を使ってね。私 達は敵をひきつけながら遠回りして行くか ら安心して」

「必ず生きて楓の屋敷まで来いよ。それでは 任務開始」

龍さんはそう言い残して部屋から出て行った。

「兄さん全てが終わったら私の気持ちちゃん と伝えるね」

「あぁ、約束だ。それまで絶対死ぬなよ雪」

「当たり前だよ。それじゃあ出るよ」


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