第6話 国を駆けた初めての音ゲー対決が今始まる!

天気も良く絶好の対決日和となったその日、会場とされていた王城のダンスホールは盛大な熱狂に包まれていた。

この日の為に会場は客席が少し高くなるように改装されていた。

その為ダンスホールに招かれた互いの国の代表以外にもこのゲームに魅入られた国民や興味を持った旅人も自由に観覧許可が出されており会場となった何処からでもゲーム内容がゆっくり見られる様になっていた。


「皆さん!お待たせしました!それではこれより『国取り アタック チャレンジ』を開催します!」


開発者として特別席に招かれていたロクドーはその特別席でその様子を観覧していた。

まさかこの世界の住人に音ゲーがこれ程まで受け入れられるとは思いもしていなかった彼の顔には笑みが浮かんでいた


「国取りアタックチャレンジ・・・KACか、全く何て偶然だ」


独り言を言いながら自分の体の中に熱い何かが燃えているのを感じたロクドーはそれを押さえる。

そして、試合のルールが発表されるのだが・・・


「勝負は互いに指定された3曲をプレイしていただきその曲ごとの合計スコアを・・・」

「ちょっと待った!」


司会が試合内容を説明している時にロクドーは声を上げた。

3曲?そんなんじゃ足りないじゃないか・・・

ロクドーの中の熱い思いが渦巻いて記憶を呼び起こす。


「試合内容はエキスパートモードで行ってもらいたい!」


ざわめく会場、誰もが開発者として発表されたロクドーの言葉に耳を傾けたいが周囲のざわめきに引っ張られてしまう。

それをロクドーは落ち着くまで立ったまま見守る。

まるで全校集会で校長先生が生徒が静まるのを待つように立ち続けた。

やがてざわめきが落ち着き静けさが戻って来た時に彼は口にする。


「ゲーム開始時に5つのボタンを押しながらスタートボタンを押すと隠しモードであるエキスパートモードが始まります。これは譜面は同じですが難易度が上がり全7曲を一気に演奏できる!これの合計スコアで勝負してもらいたい!」


3曲ではなく7曲・・・その発表に会場は沸いた!

そして、殆どのプレイした事の在る人が首を傾げる。


「7曲?6曲じゃなくて?」

「DJ対決も入れてだろ?」

「そっか確かにそれで7曲だね」


口々に憶測が流れるがその中で数名だけは幻の曲と言われる『良いモーション』が見れると期待していた。

稀にDJ対決をクリアすると出現するその隠し曲はDJ対決を100%クリアすれば出現するのだがそういう文化の無いこの世界の人達にはその出現方法が謎とされていた。


そして、司会に再び解説を譲りロクドーは席につく。

盛り上がる会場の中で魔道具を使って響く司会の声が全員へと届き互いの国の代表選手の紹介が行われる!


「コンマイ国代表!『トム』!」

ワー!!!!!


トムはこの短い期間で全てグレート判定でクリアすると3110点のボーナスが追加される事を発見していた。

それを使い設置されている酒場の筐体ランキングで合計値を超えた最高スコアの記録を残していたのだ!


「続いてナコム国代表『アトラン』!」

ブー!!!


アウェーというだけでなく勝ったら国を乗っ取ろうとしているナコムの代表選手である事から観客から野次が飛ぶ!

だがアトランは決して気圧される事無く俺の演奏を見てから言えと言わんばかりに拳を天へと突き上げた!

そして、二人が筐体の前に立つ。

一瞬にして騒がしかった会場は静まり返り固唾を飲んで見守る。

そして2人同時にコイン投入口に指をあて100MPを支払い2台の筐体に電源が入る!

どちらから何を言う訳でもなく対戦相手を見つめあったトムとアトランはニヤリと笑い5つの鍵盤を押しながらスタートボタンを押して同時にゲームがスタートするのであった!

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