異世界で音ゲー革命! 音楽ゲームが異世界に進出?!

昆布 海胆

第1話 異世界にビートDJマニア出現!?

「何か無いのか大臣・・・」

「王・・・そんな都合の良い物があるわけございません・・・」

「なにか・・・なにかある筈だ・・・」


城内の王の部屋で2名の男性が頭を悩ませていた。

この国、コンマイ国の国王『コンマイ・パセリ・アミュ6世』と大臣の『ガイド』である。

現在この国は隣国『ナコム』から宣戦布告を受けている。

だがその内容が戦争ではなくそれ以外で相手してやるからそれを選べというものだった。

この世界では戦争は殺し合いではなくそれ以外で勝敗を決する事が決められていた。

これはお互いに消耗した所に別の国が攻めてきて滅ぼされた国が後を絶たなかった為だ。


「期限は来月か・・・一体どうすれば・・・」


この国、コンマイではその高額な税金のせいで特殊な技能を持つ達人と呼ばれる人間が全て国から出て行ってしまったのだ。

後から慌てて税金を下げたのだが残ったのは平民と呼ばれるなにも特殊な技能を持たない人々ばかりだった。

しかし、国王は知らなかった。

その平民の中にとんでもない天才が誕生していた事を・・・





「今日は新作音ゲー『ノスタルジャー』の稼働日か!一番乗りしてやるぜ!」


日本音ゲー祭で優勝した経験もある彼の名は『六道 守』根っからの音ゲーマニアだ。

彼が高校を卒業すると同時に日本で大ブレイクした音楽ゲームに社会人になったばかりの彼はどっぷりとハマッた。

そして、気付けば全国TOPプレイヤーとしてその名は有名になっていた。


「おっと間に合えー!」


点滅する歩行者信号に駆け足で向かう守は音ゲーの為にジムに通って体を鍛えるほどだ。

その身体能力は既に一般人とは次元が違っていた。

それもその筈、足を使う音ゲーの為に鍛えられた彼の足は短距離走のオリンピック選手に匹敵する速度だ。

そして、そんな速度で横断歩道に飛び出すものだから・・・


キキキー!!

「あっやばっ・・・」


左折して来たスポーツカーと自分が当たるその瞬間をその目で見つめていた彼は吹き飛ばされ地面に落下するまでをスローモーションで見ていた。

タキサイキア現象である。

彼の最後に思った事は・・・


「このスローの中でならどんな音ゲーでも対応できるな・・・」


それが彼が最後に考えた事であった。








「ご主人様?」

「んあ?!」


そこは彼の経営する奴隷販売所であった。

彼の職業は奴隷をレンタルして人々に貸し出し力仕事等を行わせる派遣業みたいな仕事であった。

そんな彼『ロクドー』は椅子に座って天井を眺めていた。

昨日は奴隷が粗相をしてクレームが入りその処理に終われ徹夜していたのだ。

この世界での奴隷は良くある肉体を売るような仕事はさせない。

無理やりそう言った事を行うと奴隷に着けられた魔法具で感知される。

行き着く先は犯罪者として鉱山奴隷と言う過酷な環境で働かされるのでそういった事は誰も行わない平和な世界だ。


「寝ていたのか・・・」

「はい、上を向いたまま痙攣なさってましたよ」クスッ


彼女は秘書として雇っている『エミ』

そうだ、俺はこの世界の住人だった。


「変な夢を見ていたんだ。」

「夢ですか?」

「日本と言う国で音ゲーと言うゲームが在ってな、それにハマって有名人になる夢さ」

「おとげーですか?」

「そう、えっとな音楽に合わせて動いて遊ぶ機械でこういった・・・」


そう彼が地面に絵を描いて説明をしていた時だった。


『スキル『創造具現化』を発動します。』


そんなアナウンスが彼の頭に響き彼の眼の前に大きな黒い筐体が出現した。

5つのボタンと大きな円盤みたいな物が1つ。

それはまさに彼が日本で廃人になるまで遊んだ音ゲー『ビートDJマニア』であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る