復讐しろ。絶対に赦すな

Scene.20 いやぁ、復讐って本当にいいもんですね~ 前編

 中2年の春、父親が勤めていた会社が倒産した。しばらくは失業保険で何とかつないでいたらしいがそれが切れても再就職できず、もともと少なかった貯金もすぐに底をついた。

 そして中3の春、父親は生活保護を受ける事となった。それからだった。


「皆さん、聞いてください。こいつは生活保護で飯を食っているクソ野郎です。人様の税金でタダ飯を食っている屑野郎です。

 善良な一般市民が汗水たらして稼いだお金を使ってただ飯ぐらいの税金ドロボーをしています。こんなことが許されるのでしょうか?」


 マサヤは全裸にされ、腕を縛られ犬の首輪を首につけられリードで引っ張られながら校内を歩かされる。希来里きらり希里亜きりあによって拡声器で税金ドロボーであると罵られながら。



 別の日、下駄箱に紙切れが入っていた。


「死ね 税金ドロボー」

「ナマポ受給者は人間の屑」

「ただ飯ぐらいはさっさと死ねよ」

「人様の税金で食う飯は美味いか恥知らずめ」

「税金ドロボーの息子も税金ドロボーだ。今すぐ死ね」


 暴言が刻まれていた紙切れが大量に入っていた。

 思い出したくもない地獄、いやいっそ死んで地獄に行った方が苦しまないと思うほど苦痛に満ちた生活。そしてそれから15年後の30歳を迎えたことを機に開かれた同窓会で起きた2度目の凌辱りょうじょく

 それが刈リ取ル者の頭に流れ込んできた。



「……つらかったな。よく耐えた。俺だけはお前の味方になる」

「いやぁ。ありがとうございます。でも刈リ取ル者さん、あなたにお任せしたくないんですよ。俺が殺しますんでほんのちょっと手伝ってくれるだけでいいんです」

「そうか。分かった」


 彼は快諾した。



 翌日の夜、昨日出会った公園で刈リ取ル者はマサヤと合流し、希来里きらりの家へと向かう。

 2階の寝室で寝ていた彼の部屋に窓ガラスをぶち破って侵入する。異変に気付いた彼を刈リ取ル者は脚をブチ折って動けなくする。


「刈リ取ル者さん、腕を押さえつけておいてください」


 刈リ取ル者は言われたとおりにする。そしてマサヤは憎しみをふんだんに込めた笑顔をしながら希来里きらりの腕を両口ハンマーで思いっきりぶっ叩いた。

 ゴキ!という音と共に硬いものが砕ける音がした。


「次は左腕です。お願いします」

「やめろ! こんな事したって何にもならねえだろうが!」

「オレがスカッとするだけでも十分に価値はあるぜ? フヒヒヒヒャハハハ!」


 ぶっ壊れた嗤い声をあげながら両手両足の骨をブチ折る。次は胴体だ。ハンマーのフルスイングを浴びせる。肋骨がブチ折れ内臓が悲鳴を上げた。


「助けて……助けて……!」

「助けて。だ? そうか。止めてほしければ土下座して詫びろ。で、俺が良いって言うまで何があろうと顔を上げるんじゃないぞ」


 希来里きらりは言われるがまま手足を引きずって土下座する。


「申し訳ございません。申し訳ございません。申し訳ございません。申し訳ございません……」


 大粒の涙をぼろぼろとこぼしながら希来里きらりは詫びを入れる。それを見たマサヤはズボンをおろし、土下座させた頭の上に尻を突きだす。そして……



 ブリュリュブリュリュブリブリブリブリ!



 マサヤは排便した。糞が希来里きらりの頭にかかる。


「ギャハハハハ!! ひっでぇなお前! クソまみれじゃねーか! ウヒャヒャヒャヒャヒヒヒケケケケケ……」


 彼は爆笑する。心の底から嬉しそうに。希来里きらりが怒りながら顔を上げる。それを見たマサヤは別の人格に切り替わるスイッチが入ったかのように顔を急変させる。


「オイ、俺が良いって言うまで何があろうと顔を上げるんじゃないって言っただろうが」


 そう言ってお仕置きと言わんばかりにハンマーで彼の背中をぶっ叩く。うめき声をあげて希来里きらりは倒れる。


 パシャ! パシャ!


 そんな糞まみれの姿をスマホのカメラで写真を撮る。


「あれ? おかしいな。圏外になってる」

「ああ、すまん。今は電波を遮断している状態なんだ。こいつを始末したらまたつながる状態にするからアップロードはまだ待ってくれないか?」

「はぁそうですか。んじゃあトドメはお任せします。」


 刈リ取ル者は背中にマウントされていたRPG-7を向け、ぶっ放す。爆風で挽き肉ミンチより酷い状態になって爆裂四散する。


「いや~爽快ですねぇ。復讐ってこんなに気持ちいいもんだとは思わなかったですよ」

「そうか。ところでどうする? これからもう一人のところへ行くか?」

「いや、アイツの親を殺しましょう」

「分かった」


 そう言って1階の両親の寝室に侵入する。


 息子が死んだことも知らずに彼の両親はすやすやと寝ていた。母親の脳天をハンマーでカチ割る。ガゴッ!という硬いものが砕ける音がして脳にまで達する深い穴が空く。即死だった。

 次いで父親の脚にハンマーを振り下ろす。ボキィ!という骨が砕ける音が響いた。突然の激痛に反射的に飛び起きた。


「な、何だお前は!?」

「オメエの教育と遺伝子のせいであんなクズが産まれちまったんだろうが! 責任とれよ!」


 腕、足、胴体に情け容赦なく怒りの鉄槌を下していく。


「俺が何をしたっていうんだ!?」

「オメエがあのゴミクズを産んだせいでこっちにさんざん迷惑かかったんだろうが! 責任とれよ屑が!」


 5分ほど一方的に殴り続け、希来里きらりの父親は死んだ。


「満足したか?」

「ああ。満足だ。今日はこの辺にしましょう。希里亜きりあは明日です」

「分かった」


 2人は現場を後にした。




 翌日、マサヤは執念だけで調べ上げた希来里きらりの親友、希里亜きりあのSNSアカウントに向かって友人が糞まみれになっている写真をアップロードした。


「次はお前だ」


 というメッセージと共に。

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