3章 十二神将編

第1話 姉さんがお願いをしてきました。

姉さんと会った僕達は取り敢えず母親達のいる家に帰った。

僕の姉、清夏は今までアメリカ支部で穢れ祓い隊の教官だったらしい。これも最近てかさっき聞いたのだった。

「清夏、いつ日本に帰って来たの!?」

「昨日だよ。母さん、ほんとに変わってないね。にしても、真も陰陽師の力に目覚めたんだな」

そう言って僕の体をまじまじと見ていた。

「まあね。これでも首席だよ」

「まあ、頭良かったしな。でも、術の実技は最底辺だろ?」

「それがね、その実技も首席なの」

そう聞くと姉さんは目が点になっていた。

「な、なんで!?」

「御守りで全部の力が半減されていたみたいで。御守りを外せば常人を上回る力が出せるみたい」

そう聞くと、姉さんは僕の首にぶら下がっている御守りを取った。

御守りを取られるのは嫌いだ。何か体がふわふわする。そして想定通り、金色の光がうようよしていた。

「本当だ。精霊は普通の人間には群がらない。つまりお前は強大な力を持っているのか」

「分からないけど、皆そう言ってる」

僕はそっけなくそう言った。正直、そんな事僕にとってはどうでもいい。

「……じゃ、僕は部屋に戻るから」

僕は御守りを戻してもらい、部屋に入った。

「あいつ、昔はあんなんだったっけ?」

「陰陽学園に通ってから人見知りが無くなったみたいなのよ。なんか、他の人って感じなのよねぇ」


「真様。大丈夫ですか?」

「うん」

僕はあの人が本当に苦手だ。高圧的で偉そうな態度。僕が苦手とする人間の代表でもある。でも、さっきの僕結構はっきりしてたような。御守りを取ったから?いやいや、そんな訳……。

あるかもしれない!?

そう考えていると、扉のノック音が聞こえた。

「真、ちょっといいか?」

「姉さんか。別にいいよ」

そう答えると、姉さんは扉を開けて中に入って来た。

「何?」

僕は椅子に座って聞いた。すると姉さんは珍しく慌てていた。

「えっと、その」

「どうしたの。いつも用件をはっきりしてるのに」

僕は薄々気づいていた。それは僕の態度だ。今までオドオドした態度がはっきり言いやすい空気を作っていたのに、いきなり僕がはっきり意見を言える人間になっていたんだからそりゃ戸惑いもするか。

「……分かった。御守りつけていつもの僕になるから」

僕はお守りと取って首にかけようとしたすると、姉さんはそれを止めた。

「待ってくれ!」

「え?」

「その、そっちのお前の方が私は好きだからそのままでいろ」

……ん?姉さんってこんなに女の子らしかったっけ?なんでこんなに可愛くなってんの!?僕の記憶上姉さんは鬼教官で僕にめっちゃ厳しかった。なのになんだこれは!?

「ま、まあ姉さんがそう言うなら」

僕は御守りを机に置いた。そして姉さんは用件を話した。

「真、お前に手伝ってほしい事があるんだ」

「その手伝いとは?内容によっては手伝えないけど」

「まあなんだ、私が移動した隊の手伝いをしてほしいんだ。今のお前なら人に教えるくらいはできるだろ?」

「……悪いけど、それは無理だよ。ぼくだってそんなに強くないし式神もちゃんと使役出来てない。だから、行ったって足を引っ張るだけだよ。まあ、あと2年経ったら卒業だからその時手伝うよ」

「……分かった。あと2年我慢するか」

姉さんも苦笑いって言うかまあ笑っていた。

「じゃ、用件はそれだけだ」

姉さんは立ちあがって部屋を出ようとしていた。

「あ、姉さん。これから家に帰ってくるの?」

「ん?いや、まだ住む所を探し中だ」

僕はいい事を思いついた。

「ねぇ姉さん。三食昼寝付きのいい物件があるんだけど話しに乗る?」

「何だ?」

僕は姉さんと一緒に家を出た。


「ここ。僕がこれから住む所」

そう言って出したのは祖父が使えと言った僕の家。

家主は僕だって祖父が決めたからこの家の決定権は僕に全権限握られているのだ!

「でかいな」

「まあね。同居人も2人いるんだけど多分姉さんが知ってると思うよ」

僕が姉さんをこの家に呼んだ理由は2つ。1つはまあ、結構優しいから。そしてもう一つは……。

「お帰り、まこ、と、く、n……!?」

「どったの、えい、かねえ!?」

「紹介しますね、今日からこの家に住む事になった安倍清夏。僕の姉さんです!」

「なんだ、詠歌と林檎じゃないか。元気にしてたか!?」

2人は目が点になって驚いていた。

「き、清夏さん。いつから日本に」

「ん?昨日帰って来たんだ。それで、さっき真と会ってこの家を紹介してもらったんだよ」

姉さんはとても嬉しそうに2人を抱きしめていた。

そう、もう一つの理由。それは、詠歌さんと林檎さんを大人しくさせる為なのだ!

幸い、2人は姉さんの事が結構苦手で出来ればあまり関わらないのだ。

「この家の家主は僕です。なのでこの家の決定権は僕あるというわけです。なので皆さん、仲良くしていきましょうね」

僕は満弁の笑みでそう言った。

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