第3話 能力者の誕生。

「君も能力者になったね。おめでとう。」


 マリーナがどういう理由でこの様な言葉を放ったのか俺には良く理解できなかった。

 俺が能力者ってどういう事だ?

 そして、俺が能力者になったらどれだけ得するの?そして、それ以上に何か対価を支払う内容があると俺は疑問を持った。

 俺が能力者について知ったのは、特殊な紙に契約すると特別な能力を得られる、その能力を対価と引き換えに発動できる事をIWC時代に知っていた為だ。


 だが、一度能力者になるとそれに代わる代償を得なければならず、その代償の大きい者ほど強力な契約能力になる事は知っていた。


 更に、下手に契約すると特定の国に盗聴される危険性もある為、慎重に契約する必要があったが、良く見たらキリル文字なのか、アメリカに盗み取られることはないと安心した。


「マリーナ。これからどこへ逃げるんだ。」


「これからこの刑務所を脱出し、君をこの国アメリカから脱出させる。それが私の使命だから。」


「そうか。なら話は早い。俺は自分の命を護る為、この国アメリカから脱出し、この国アメリカに反発する国に亡命してみせる。」


 俺は、テロ事件により愛国者法が制定されたこの国アメリカの影響がない国に亡命する事を決意した。

 というより亡命しないとアメリカ政府に俺が殺されるのが分かっているからだ。


「なら、まずはキューバに逃げた方が良い。」


「キューバ。アメリカの近くの国なのに何故だ。」


「キューバはカストロにより反米政権が生み出された国で医療が最先端の国なの。」


 キューバか。確かに近隣の国では一番安全な国であそこキューバは有名な反米政権が続いている国でも有名だ。

 また、医療水準はこの国アメリカと比較にならない位、素晴らしく安い医療が受けられる事で有名だ。

 そこに逃げられるなら俺は少し安心できるだろう。


「…。それで。」


「それでキューバはアメリカと国交を結んでいない国だから近くでも安心して逃げられるの。」


「でも、カナダやアフリカ大陸に逃げる方法でもダメなのか?」


「シュタイン。カナダは愛国者法が制定されてから警備が厳しくなった。仮にカナダに逃げても、BEFの追手が来る可能性も否めない。アフリカも親米国が多いから同様よ。」


 やはり、カナダもこの国の政府の共犯者だ。

 だから逃げてもBEFの追手が来るように仕組まれているし、警備も激しい。

 カナダではまず駄目だ。

 アフリカも国によるが親米国や英語・フランス語が主流の国が多いからいまいち信用できない。

 マリーナあいつのお陰で少し希望が持ちあ始める事が出来た。


「そうか。なら、キューバに逃げてからどうするんだ。」


「キューバから飛行機でエクアドル、或いは香港ホンコンに逃げる。勿論、キューバに到着した時にはキューバ政府や私達の仲間が貴方を支援するから安心して。」


「そうか。なら安心した。」


「安心した。その言葉は、まだここで言うんじゃないよ。キューバについたら言おうね。」


 マリーナあいつがここで安心したと言う言葉を言うべきでない理由が解って来た。

 同時多発テロ事件から愛国者法が制定され、内部告発が出来なくなったアメリカ。


 そのお蔭で

 その影響から、アメリカ政府を批判する報道が激減し、英語記事えいじメディアなら外国メディアを含めた検閲言論統制が可能になる等、他国への内政干渉が強まってきた。


「マリーナ。俺はアンタと共にこの国から出て世界中にアメリカの実態を暴いてやるよ。」


「勿論。その気で行かないとね。」


 俺はもうこの国アメリカにいられなからこそ覚悟している。


「と言う訳で、ここに居る看守、囚人を攻撃しても良いか。」


 もはや、マリーナあいつに協力する以外に生き残れる道がないと俺は思った。


「いや。やらなくて結構。どの道、から。」


「分かった。ならこの刑務所をぶっ壊しますか?」


 成程。囚人は警察官が勝手に射殺するから、俺達を追わないとマリーナあいつは思ったのだろう。

 よし、俺はこの壁を壊すなら、契約したばかりの能力をここで試そうと考えた。

 

 例え、警官から非難され、アメリカ政府に狙われても…。

 

 そして、俺とアメリカ政府の戦いはこれから本格的に始まろうとしていた。

 9・11の真実自作自演と本当の自由を取り戻す為に…。

 そして俺の命を守るために…。

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