第16話 後悔

もっといろいろ話せばよかった。

いろいろ教えてほしかった。2人だけの時間がほしかった。

余裕が無くて一緒に居られないのなら少し距離を置くだけでも良かったのに。

エンくんからしたら弱みを見せたくなかったのかも知れないけれど

弱みを見せてくれたら理解できた。解決の役に立てたかもしれない。




エンくんは仕事をやめた。

エンくんが好きな、私の嫌いなこの夜の街を離れた。





エンくんと離れてしばらく経った頃、いろんな人との出会いがあった。

中にはこの人いいかもって少し思いながら

でも冷静になればなるほどエンくんの優しさだけを思い出した。


エンくんに対して嫌なところももちろんあった。

マイペースすぎて、こだわりが強すぎて、何も教えてくれなくて

今が楽しければいいって考えの人で

将来性なんてかけらも感じられなかったけど


なんでか日にちが経つ度に

優しさばかり目立って思い出す。涙が出るほどに

もちろん嫌なところも思い出すけれど

今エンくんがどこにいて、何をしているかはわからない。

わかっていても行動なんて出来ないのだろうけど



今となってはたらればの

2ヶ月なんてあっという間の短い付き合い

それでも自分の世界は広がったし

成長できたと思う。まだまだ成長途中だけれど。



これは『かなえ』という名の『私』の

短いけれど忘れたくない物語。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る