第11話 鉢と苗との恋物語

ここは、ロザリアンによるロザリアンのためのクラブ、ロザリアン・ラプソディである。今夜新しく新人ホステスが入ってきた。


藍色の着物を着た銀座のママ→白浜。

「あらぁ、バラ愛好家のお客さんいらっしゃい。今日ねえ、新しい子が入ったのよ。紹介するわ」


バラの新苗

「は…初めまして。あたくしガブリエルと言いますでし。夜のお仕事は初めてなんでよろしくお願いしましぃ(*/∀\*)」


ママ

「ね?まだ4号鉢で高さ25センチ。葉っぱは合計18枚とうぶな子なんだけど、河本バラ園育ちだからお嬢様なの。だからお客さんも応援してやってね🚬」


黒服ピエール・ド・ロンサール

「ほーらほらほら、ガブちゃんリラックス~。僕はこの業界長いから(白浜家に来て1ヶ月の大苗)フォローしてあげるよ」


ガブリエル

「は、はい!」


ママ

「ガブちゃん、銀座の女に相応しい衣装が必要よねえ。あなた、サイズは?」


ガブリエル

「は、はいっ、生まれたときから4号鉢(直径12センチ)でし」


ママ

「うーん、あなたこれから秋にかけて成長していく子だから、もうワンサイズ必要だわねえちょっと専門家に電話して聞いてみるから」


ホームセンターに勤めるバラガーデナー

「その子新人?葉っぱは何枚付いてるか具体的に数えてみて」


ママ

「ええっと…驚いたわ。新苗なのに54枚付いてるわよ」


ガーデナー

「その子、秋までには大きく育つわよ。2サイズ上の8号鉢(直径24センチ)にしないとあんた秋口には植え替え作業する破目になるから8号にしな」


ママ

「恐ろしい子…!ちょうど8号のプラステックの根張り鉢と、バラ用の土が2.5キロ余ってるのよ。つまり、あたしはすぐ植え替え出来るってこと?」


ガーデナー

「そういうこと。こっちには利益なしだけどね。あ、そーだ悪い男(虫)対策はしてる?」


ママ

「ええ、悪い男の代表格アブラムシが出やがったんでスプレー二種類はローテーションでかけて一回目の消毒は終わったわよ」


ガーデナー

「ちっちっち、株本にオル◯ラン撒いとけば悪い男は寄ってこないわよ。あ、チャラ男で葉の養分吸い尽くすヒモのハダニは乾燥注意報が出た日に葉っぱに水を霧吹きで濡らしとけば寄ってこないから」


ママ

「つまり、低コストで男が寄らない訳ね!」


ガーデナー

「そーいうこと、オル◯ランについては近くのコス◯スドラッグに置いてあるからすぐ手に入るわよ」


ママ

「ありが、と。ひとまず梅雨の期間は安心だわ」


ピエール

「ママぁ、僕、このクラブ入った時は6号プラ鉢の二年目ものの大苗で8号鉢着せてくれたのはいいんだけどさ、もう底から根がはみ出すくらいハンッパンなんだけど(>д<*)」


ママ

「げえっ!大苗の成長力甘く見てたわ。最初っから10号(直径30センチ)着せてときゃ良かった!」


ピエール

「まあ余裕があるときでいいから10号の服買ってよ~あとがっしりしたフラワースタンド、ね?」


ママ

「んもう、おねだり上手な・ん・だ・か・ら。うふっ。はいはい来月考えときます」


ガブリエル

「新規のお客さん入りましたでしぃ」


ママ&ピエール&ガブリエル

「いらっしゃーい。クラブ『ロザリアン・ラプソディ』にようこそ!」







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