第2話 夢...壊すんじゃねえよ

目を開けた時、薄暗かったため目が慣れるのに時間がかかった。

 目が慣れるまでの間に霧生は今の自分が置かれている状態を整理しておくことにした。

 自分はネトゲ......というかネット中毒者であり昨夜遅くまで起きていたが、先ほど起きた際(午前10時半)、大分汗をかいていた。 そのため風呂を入りに行き、出ようとした際捕まった。変な魔法陣に。


 「全く、異世界召還されたっていうのに何で美少女がいないんだよ」


 目が慣れてきた霧生は暗い部屋を見渡し、その光景に嘆く。




 大抵の異世界召喚モノであれば、その世界が何らかの危機に貧しており超絶美少女に召喚された主人公が保持しているチート能力によってビビビッと強くなり、バババッと世界を救い、ラララっとヒロインや他の美少女と恋を育むのである。説明は面倒なので割愛させてもらう。

 だが、今の霧生には全てにおいて何のフラグも立っていなかった。



 霧生が自分と似ているシチュエーションのラノベかアニメがないか回想していると、突然視界に明かりが入った。その明かりは薄紫色の円型魔法陣へと姿を変え、いかにも異世界といったオーラを醸し出していた。

 その魔法陣を見た時ふと、自分が召喚された時の事を思い出す。


 「......。俺の時と同じ色だ」


 だとすればこの魔法陣から出てくるのは人間、もしくは他の生き物のはずだ。

 この世界に来て初めて何かと対面するため霧生は少し高揚していたが、それ以上に不安が大きかった。

 霧生が目を見張っていると魔法陣の中から全体を隠し、顔も隠れるようなローブを着た人間だと思われる者が歩いてきた。

 人間らしき者に霧生は少し嫌味ったらしい口調で、


 「すいませーん。俺の事情に有無言わせず急にここに連れて来られたんですけど、ここ、どこなんですかぁー?」


 ローブの者は


 「ここはグラルーダ。お前を召喚したのは渡しだ。お前の事情など我々には関係がない。お前は所詮我々の金儲け道具だ」


 声からして30代のおじさんぽかった。どちらにせよ美少女ではない事が発覚。その事実を目の当たりにし、霧生は、



 「おいおい。全国のアニオタの夢......壊すんじゃねえよ」


と小さく呟いた。

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