身を削り、魂を削り、危うき己とすら戦い、今日もアマタは悪を斬る!

第一章完結を機にレビューさせて頂きます。

本作はジャンル自体は異世界ファンタジーですが、エドと呼ばれる純和風の世界観をベースにしつつ、エルフなどの異種族も同様に存在するという、非常に独特の世界観を構築しています。

そしてそれら独特の世界観を、違和感なく読み手に想像させ、いつのまにか自然な世界、魅力的な世界へと昇華しているのは見事の一言。

主人公であるアマタの必殺仕事人稼業は、まずこの強固に構築された魅力的な世界観の中で繰り広げられていきます。

そして次に語るべきは、主人公であるアマタとその愛刀、ダインスレイブの見事な掛け合い、そして魅力的な関係性でしょう。

ダインスレイブは人の生き血を吸う魔剣。この剣を持ったが故に、アマタには様々な災難が降りかかることになる――。

ここまで書けば、よくある普通の設定に見えますが、本作はそうではありません。本作の主人公であるアマタは、その生来の性質故に、ダインスレイブが無くとも危険な判断や思惑をちらほらと見せます。まだ敵か味方かわからない――むしろ味方よりの人間すら、安易に斬り殺すことを選択肢にいれることすらあるほどです。

そして魔剣であるはずのダインスレイブは、そんなアマタを取り殺そうとするでも無く、むしろアマタに非常に協力的です。アマタの心身の配慮まで完璧で、登場当初からその関係は良き相棒ポジションといったところでしょうか。

ステレオタイプな魔剣と使い手の関係とはまるで逆のこの組み合わせは、本来であれば暗く、重くなりがちな人斬りという命題を、サクサクかつ軽妙に展開させるよいバランスを生み出しています。

まだまだ第二章へと続く本作。この先この世界が、そしてアマタとダインスレイブが、どのような道程を歩んでいくのか。ぜひ最後まで見届けさせて頂きます!

その他のおすすめレビュー

ここのえ九護さんの他のおすすめレビュー327