ある科学者のスクラップブック

理性の狡知

東亜経済新聞「サンドスター量産化成功」(2023年5月24日付)

世紀の発明―環境問題の特効薬となるか―

 帝都大学山上新五郎教授(52)率いる研究チームが、「サンドスター」の量産化に成功した。2013年、岐阜県糸守町に落下した彗星に付着していたとされる未知の物質「サンドスター」は環境を固定する性質を持っていることは既に明らかになっていたが、量産化に成功したのは今回が世界で初めて。

 山上教授は「量産化に成功したのは殆ど奇跡。サンドスターにはまだ分からない部分がある」と述べた。現在、「サンドスター」は世界中で研究が行われているが、未だに物質の組成すら明らかになっていない。今回の成功は、研究の飛躍へと繋がるとして、大きな期待を寄せられている。<関連記事35面>


「サンドスター」って何?

 「サンドスター」は、岐阜県糸守町に落下した彗星に付着していたとされる未知の物質。2014年、糸守湖の被災調査によって発見された。被災直後の調査では、糸守湖の環境は彗星落下の衝撃で壊滅的な打撃を受けていたが、翌年には殆ど回復。被災後、絶滅したと考えられたワカサギも戻ってきていた。

 綿密な調査によって、糸守湖の底の砂から未知の物質が発見され、「サンドスター(砂の星)」と名付けられた。その後、「サンドスター」は環境をある一定の範囲に維持する性質を持つことが分かり、「環境問題の特効薬」として注目されていた。しかし、「サンドスター」の量産化はなかなか成功せず、今回の山上教授によって初めて成功した。

 「サンドスター」は環境の変化を打ち消す夢の物質だ。例えば、空気中の二酸化炭素濃度が変化すると、二酸化炭素を吸収して環境を一定に保とうとする。また、「サンドスター」は二酸化炭素だけではなく、化学物質や放射能、更には気温に至るまで吸収し、環境を一定に保つ。「環境問題の特効薬」と呼ばれる由縁だ。今回の量産化は、「サンドスター」の解明だけではなく、環境問題に対しても一筋の光明を指し示すこととなった。<関連記事1面>

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