自殺願望


神様は意地悪だ。


ボクはずっと死にたかった。


だから望んで手首を切ったのに。


深く、もっと深く。


切って切って切りまくったのに。


どうして?


3年経った今も、ボクはこうして生きている。




ーーーーーーーーーーーーーーー



自殺願望を持ち始めたのは、中学校に入学したての頃から。


両親が別れて家族がバラバラになった日からだった。


だけど自傷するようになったのはもっと前。


小5の春、気にくわないってだけで男子から性的なイジメを受けた時から。


元々ボクは皆に愛されなかった。


ボクの事を『ボク』って呼ぶ癖も。


極度の人見知りな性格も。


突然変異なのか、家族の誰とも違う目立つ髪と瞳の色も。


髪の色はトモカク、


瞳は黒のカラコンか度の入ってない瓶底メガネで誤魔化すから。


常に財政難な家計も。


顔に似合わず女の子が好む遊びより、


男の子が好む遊びの方が好きな事も。


身体中に付いた傷痕も。


それら全てがきっと、


周りの人間に嫌われていた理由だ。



そんなボクもボクが嫌いだった。


何故『ボク』って呼ぶのかって?


大した愛情も持ち合わせていない癖に


     『淡染依(そめい)』


なんて、形だけ取ったような名前と


女の子らしくするのが嫌だからだ。


だからか、


身内も他人も


      『似合わない』


もしくは"コレ"を見せると


       『幻滅した』


とかどうせそう思うんでしょ。


だからボクはもう慣れてるし気にしない。



     …気に、してない



      気になんか…



     ……ごめん、嘘…




      本当はね……?


    気にしない…ようにしてる、


      だけなんだよ。



      …お願い。


     助けて、誰か気付いて…



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